YAMAHA CT-800

YAMAHA CT-800 がやってきた!

2009年12月12日、 YAMAHA CT-800 の修理依頼品が送られてきました。

オールドヤマハデザインのバリコン式チューナーです。 当時、私もこの CT-800 または後継機種の YAMAHA CT-1000 に憧れていました。

さてさて直るかな???



早速、程度&動作チェック

  1. 外観

  2. 到着した状態のまま電源 ON してチェックしました



カバーを開けてみました

  1. こんなに古い回路構成のチューナーを見たのは久々です。 ・・・ 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. FM フロントエンド

  3. FM IF 部

  4. FM 検波部

  5. FM MPX 部

  6. AM 受信部



修理&クリーニング



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 電圧チェック

    電源基板上の
    測定ポイント
    標準値 (V) 実測値 (V) 備考
    +30V +30 +28.92 AF アンプ
    MB +30 +27.93 MPX
    +12V +12 +12.00 MPX & チューナ全般
    -12V -12 -12.52 MPX

  2. FM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 CT-800 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - FUNCTION : FM MONO
    MUTING : OFF
    HIGH BLEND : OFF
    - -  
    2 76MHz 30~60dB
    変調 : MONO 400Hz
    76MHz 受信 フロントエンド
    LO
    S メータ = 最大  
    3 90MHz 30~60dB
    変調 : MONO 400Hz
    90MHz 受信 フロントエンド
    TCO
    S メータ = 最大  
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    5 76MHz 30dB
    変調 : MONO 400Hz
    76MHz 受信 フロントエンド
    LA
    LR1
    LR2
    S メータ = 最大  
    6 90MHz 30dB
    変調 : MONO 400Hz
    90MHz 受信 フロントエンド
    TCA
    TCR1
    TCR2
    S メータ = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整
    8 83MHz 30dB
    変調 : MONO 400Hz
    83MHz 受信 フロントエンド
    IF
    S メータ = 最大 IF 調整
    9 83MHz 90dB
    変調 : OFF
    83MHz 受信 T101 T メータ = 0 (センター) レシオ検波調整
    10 83MHz 60dB
    変調 : MONO 400Hz
    83MHz 受信 VR101 S メータ = 95 S メータ調整
    11 83MHz 26dB
    変調 : MONO 400Hz
    83MHz 受信
    MUTING : ON
    MUTING LEVEL : 5
    VR102 ちょうど MUTING ON/OFF MUTING LEVEL 調整

  3. MPX 部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 CT-800 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - FUNCTION : FM AUTO
    MUTING : ON
    HIGH BLEND : OFF
    - -  
    2 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    83MHz 受信 T102 D118 フロント側波形 = 最大 オシロスコープで観測
    3 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : OFF
    83MHz 受信 T104 TR123-B 波形 = 最大 オシロスコープで観測
    4 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : L-R 1kHz 100%
    83MHz 受信 T103 オーディオ出力 = 最大 サブチャンネル位相調整
    5 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : R ch. only 1kHz
    83MHz 受信 VR103 L ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整 (L)
    6 83MHz 90dB
    Pilot 信号 : ON
    変調 : L ch. only 1kHz
    83MHz 受信 VR104 R ch. オーディオ出力電圧 = 最小 セパレーション調整 (R)

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG周波数 SSG出力 CT-800 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - - FUNCTION : AM - -  
    2 600kHz 60dB 600kHz 受信 L302 S メータ = 最大  
    3 1400kHz 60dB 1400kHz 受信 AM2-TC S メータ = 最大  
    4 - - - - 手順2と3を数回繰り返す OSC トラッキング調整
    5 600kHz 40dB 600kHz 受信 バーアンテナのコア
    T301
    S メータ = 最大  
    6 1400kHz 40dB 1400kHz 受信 AM1-TC
    AM3-TC
    S メータ = 最大  
    7 - - - - 手順5と6を数回繰り返す RF トラッキング調整

  5. 調整結果



使ってみました

  1. 美しいデザインのチューナーです。 オールド YAMAHA デザインそのものです。

  2. 機能関連

  3. 感度と音質



仕様など

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    FM 受信部  
    受信周波数範囲 76~90MHz
    実用感度 (84MHz) 1.7uV (IHF)
    9.8dBf (新 IHF)
    クワイティングスロープ 5μV:55dB
    10μV:60dB
    イメージ妨害比 (84MHz) 100dB
    IF 妨害比 (84MHz) 100dB
    スプリアス妨害比 (84MHz) 100dB
    AM 抑圧比 55dB
    キャプチャーレシオ 1.0dB
    実効選択度 80dB (IHF)
    S/N 比 mono : 75dB
    stereo : 72dB
    高調波歪率 mono : 0.15% (400Hz), 0.3% (50Hz~10kHz)
    stereo : 0.3% (400Hz), 1.0% (50Hz~10kHz)
    ステレオセパレーション 45dB (400Hz)
    35dB (50Hz~10kHz)
    周波数特性 50Hz~10kHz ±0.5dB
    20Hz~15kHz ±1.5dB
    サブキャリア抑圧比 60dB
    ミューティング信号レベル 10~50uV 連続可変
    IF OUT レベル/インピーダンス 400mV/1kΩ
    Multipath レベル/インピーダンス Vert:17mV/80kΩ
    Horiz:400mV/1kΩ
    アンテナインピーダンス 75Ω不平衡型
    300Ω平衡型
    AM 受信部  
    受信周波数範囲 525~1605kHz
    実用感度 (バーアンテナ) 52dB/m (IHF)
    選択度 (1000kHz) 30dB
    S/N (80dB/m) 45dB
    イメージ妨害比 (1000kHz) 70dB
    IF 妨害比 (1000kHz) 60dB
    スプリアス妨害比 (1000kHz) 70dB
    全高調波歪率 (80dB/m) 0.8%
    総合  
    出力レベル/インピーダンス (1kHz) FM (400Hz, 100% 変調) : Fixed 600mV/1kΩ, Variable:60mV~2V/1kΩ
    AM (400Hz、30% 変調) : Fixed:120mV/1kΩ, Variable:12mV~0.4V/1kΩ
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    定格消費電力 12W
    電源コンセント Unswitched, 500W
    外形寸法 436(W)×144(H)×323(D)mm
    重量 7.5kg
    その他  
    発売時期 1973年
    定価 75,000円