KENWOOD KT-1010F (12号機) が到着
2026年7月13日、東京都北区の I さんより
KENWOOD KT-1010F
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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同調点検出用 T2 内蔵のチタコンの除去と代替コンデンサ取付をお願いします。
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可能ならば他のコイルのチタコンも壊れていないかの確認をお願いします。
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メモリーのABを切り替えるスイッチの飾り部分が取れたので、再取付をお願いします。
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RCA 出力端子を新品に交換お願いします。
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再調整及び他に不具合箇所あれば修理をお願いします。
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外観のチェック
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製造シリアル番号は [59K11444] で、電源コードの製造マーキングより [1985年製造品] とわかりました。
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[純正 AM ループアンテナ] の添付はありませんでした。
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汚れはありますが、全体的には綺麗です。
[A/B] ボタントップが外れています。
RCA 端子にクスミがあります。
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電源 ON して動作チェック
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電源は入りディスプレイの輝度は新品同様に明るいです。
操作ボタンは正常そうに反応します。
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[REC CAL] ボタン操作で正常にテスト音が出ます。
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FM 受信
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S/T メータが常に右側に赤色表示されます。
FM 同調点がオカシイです。
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放送周波数の -0.1MHz で受信できますが、[STEREO] ランプは点かず、音は歪っぽいです。
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] の添付がなかったので、右の写真の筆者が標準にしているループアンテナを接続してチェックしました。
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SONY ST-SA5ES などの大型ループアンテナです。
中古市場によく出ています。
横幅 28cm、高さ 12cm くらいのサイズです。
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相性は良さそうで、S メータが元気に振れて問題なく受信できます。
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カバーを開けてチェック
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内部は綺麗で、目視で明らかに劣化とわかる部品はないです。
リペア (その1):FM 受信で S/T メータが常に右側に赤色表示される ・・・ 修理依頼者の要求でもある
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調査と原因
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これは FM 同調点がズレているのです。
同調点調整用 [T2] のコアを調整してみましたが変化ありません。
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[T2] 内蔵チタコンが容量抜けしています。
これが原因です。
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修理
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左の写真で黄〇で囲んだ部品が FM 同調点検出用 [T2] です。
これを基板から取り出したのが右の写真です。

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左の写真は取り出した [T2] の裏側です。
チクワの形をしたチタコンが黒くなって劣化しています。
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[T2] から劣化したチタコンを除去し基板に戻しました。
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除去したチタコンの代わりに、右の写真のように基板の裏側で温度補償 30ppm 積層セラミックコンデンサ 100pF を取り付けました。

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修理後の動作チェック
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[T2] を調整すると S カーブが出て、同調点電圧を 0V にすることができました。
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S/T メータは放送局の周波数でセンタに白色表示され、[STEREO] 表示も出て受信できることを確認しました。
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ただし、音が歪っぽい現象は残ったままです。
リペア (その2):FM 受信音が歪っぽい
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原因
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直感的に PLL 検波が不具合になっていると推測しました。
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PLL 検波の NULL 電圧を測定すると 3V ありました。
ここはゼロでないといけないです。
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修理
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修理と言っても再調整だけです。
PLL 検波 NULL 電圧調整用の [L14] を調整して 0V にしました。
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この NULL 電圧が 3V もズレることは普通ないです。
おそらく、過去に誰かか [L14] のコアをテキトーに回したのでしょう。
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修理後の動作チェック
リペア (その3):RCA 端子を新品に交換 ・・・ 修理依頼者の要求
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概要
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RCA 端子にはクスミがありますが、まだ問題なく使えそうですが、修理依頼者の要求なので交換します。
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修理
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左の写真は RCA 端子交換後です。
新品なので当たり前ですが、ピカッとした輝きがあります。
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右の写真は、これまで基板に実装されていた古い RCA 端子です。

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修理後の動作チェック
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RCA 端子に挿入したプラグを揺すっても音が途切れることがないのを確認しました。
リペア (その4):[A/B] ボタントップ外れの修理 ・・・ 修理依頼者の要求
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概要
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修理依頼者から「[A/B] ボタントップが外れたので修理してほしい。」と要求がありました。
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外れたボタントップの添付がありました。
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修理
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左の写真は ボタントップが外れた [A/B] ボタンの周囲です。
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G17 ボンドでボタントップを接着して、右の写真のように直りました。

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修理後の動作チェック
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隣のボタンとの面合わせは良好で、ボタン操作も良好なことを確認しました。
リペア (その5):その他
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可能ならば他のコイルのチタコンも壊れていないかの確認をお願いします ・・・ 修理依頼者の要求
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コイルは数多くああります。
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ハンダゴテを使ってハンダを除去し、コイルを一旦取り外さないとチェックできません。
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ハンダゴテの熱でコイルと基板が痛むリスクがあります。
不必要にやらないほうがよいです。
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[T2] のクォードラチュア検波コイルはチタコンの容量抜けに敏感ですが、他のコイルはそうではありません。
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と言うことで今回はパスします。
再調整
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電源電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
備考 |
| 電源基板 CN1-1pin |
-15V |
-13.4V |
〇 |
OP アンプ |
| 電源基板 CN1-3pin |
+5.6V |
+5.54V |
〇 |
コントローラ |
| 電源基板 CN1-4pin |
+28V |
+28.4V |
〇 |
VT 電源 |
| 電源基板 CN1-6pin |
+15V |
+14.4V |
〇 |
チューナ、OP アンプ |
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FM/AM 受信部の調整
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再調整結果
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FM 受信
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フロントエンドのトラッキング調整ズレがありました。
再調整で感度が 20% 程度上がりました。
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PLL 検波が大きく調整ズレして歪率が悪化していました。
再調整で規定内に入りました。
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再調整でステレオセパレーションと高調波歪率が大きく改善し素晴らしい音になりました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
63 |
61 |
dB |
| NARROW |
60 |
60 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.011 |
% |
| stereo |
0.011 |
% |
| NARROW |
mono |
0.033 |
% |
| stereo |
0.033 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-80 |
-74 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
-0.03 |
dB |
| REC CAL |
WIDE |
mono |
398 |
Hz |
| -6.1 |
dB |
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] がないので、IF 調整だけ実施しました。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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到着時は周波数表示を放送局の周波数に合わせると歪だらけの音でした。
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周波数を -0.1MHz ズラすと歪はマシになるのですが、原理上こういうことはないはずです。
なんだろう?と思いました。
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原因がわかって、誰かが PLL 検波コイルをメチャクチャにいじっていたからでした。
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適切な測定器がない状態で調整を弄りまわすのは自殺行為です。
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デザイン
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高級感を目指しているのではなく、通信機に近いカチッとしたデザインです。
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薄型デザインですが、チューナに必要な機能はフル装備です。
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電波が強力な FM 放送を高音質で聴くには [IF BAND : WIDE] [QUIETING CONTROL : NORMAL] に設定します。
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感度と音質
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高級チューナにも匹敵する高性能で、FM 放送を高音質に聴きたい期待に応えてくれます。
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感度はかなり高く申し分ありません。
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素性が良いので、
流石に良い音
です。
ハッキリ・クッキリの明瞭度の高い音です。
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亡き越谷在住のオーディオ評論家
長島鉄男
さんが絶賛したチューナというのがよくわかります。