KENWOOD KT-3030 (8号機)

KENWOOD KT-3030 (8号機) が到着

2026年8月15日、愛媛県松山市の F さんより KENWOOD KT-3030 の修理依頼品が到着しました。

定価12万円 の高級 FM 専用チューナです。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観のチェック

  3. 電源 ON してチェック

  4. カバーを開けてチェック



リペア (その1):右チャンネルから音が出ない

  1. 調査と原因

  2. 修理

  3. 修理後の動作チェック



リペア (その2):受信音に膨大な高調波歪が発生している

  1. 概要

  2. トラブルシューティング

    1. mono でも大きな歪があることから、PLL 検波が一番怪しいと考えました。 今まではここの対策で直っていました。

      • 下の回路は PLL 検波の部分です。

      • 赤〇で囲んだ [IC1] NJM2043D を取り外し、IC ソケット化してから新品と交換してみました。

      • 結果、現象に変化ありません。 これが原因ではないです。

      • IC ソケットに元の NJM2043D を戻しました。 IC ソケット化したのは、再現試験を可能にするためです。



    2. 次に疑ったのは AF アンプ関係で、L/R ともに大きな歪が出る可能性は、L/R 共通の SUB アンプです。

      • 下の回路はステレオ分離の加減算と出力アンプの部分です。

      • 赤〇で囲んだ [IC18] NJM4560D を取り外し、IC ソケット化してから新品と交換してみました。 [IC19] [IC20] は前回のメンテナンスで交換済みです。

      • 結果、現象に変化ありません。 これが原因ではないです。

      • IC ソケットに元の NJM4560D を戻しました。 IC ソケット化したのは、再現試験を可能にするためです。



    3. 次に疑ったのは FM 受信音/REC CAL 音 切換部分です。

      • 下の回路は FM 受信音/REC CAL 音 切換部分と MPX IC [IC13] AN7418S の周囲です。

      • (A) には PLL 検波出力が入り、[Q36] と [IC12(2/2)] を経由して (B) からコンポジット出力します。

      • オシロスコープで眺めると (A) は歪のない綺麗な波形、(B) は歪の乗った汚い波形でした。

      • 赤〇で囲んだ [IC12] NJM4560D を取り外し、IC ソケット化してから新品と交換してみました。

      • 結果、現象に変化ありません。 これが原因ではないです。

      • IC ソケットに元の NJM4560D を戻しました。 IC ソケット化したのは、再現試験を可能にするためです。



    4. さて、困った!!! 初心に帰って、もう1度よく現象を観察してみました。

      • SSG から mono 1kHz 信号を送っているのにも関わらず [STEREO] 表示が薄く点灯しています。

        • これまで FLD 表示器の劣化だろうと無視していましたが、これにヒントがあると考えました。

        • [STEREO] 表示信号は [IC13] AN7418S がパイロット信号を検出して出力します。

      • SSG から送り込んでいる mono 1kHz にパイロット信号が無いのに [IC13] が STEREO 検出しています。

        • こうなると、[IC13] AN7418S が疑わしいです。

        • この IC から高調波歪成分が出て [IC12] の出力に回り込んで混入しているのでは?

        • AN7418S を交換してみたいのですが手持ちがなく、かつ、製造中止品でもう販売している半導体商社がありません。

    5. 修理依頼者に「MPX IC 故障のようだが、IC は入手不可なので修理不能になりそう」と連絡しました。

      • すると「AN7418S の手持ちがあります。」とビックリする返信がありました。

      • 私のところに修理依頼するより前に、別の業者に修理依頼したら、AN7418S が壊れていると言われたとのこと。

      • そこで修理依頼者のほうで AN7418S を調達したとのこと。 (当時はまだ流通在庫があったらしい。)

      • 修理依頼者に AN7418S を送っていただくようお願いしました。

    6. 修理依頼者から AN7418S が届いたので、早速、交換しました。

      • AN7418S を交換すると歪が消え綺麗な出力になり、直りました。(直ったと思った。)

      • しばらく使っていると大きな歪が出る現象が再発しました。

    7. 再発はしたが原因が AN7418S 周りにあるのは確実です。

      • 基板の AN7418S 周りをルーペで眺めてみました。

      • 上の回路図で青〇で囲んだ電解コンデンサ [C116] 1uF/50V のリードにハンダが付いていませんでした。

      • この電解コンデンサは前回のメンテンス者が交換しています。

      • 要は、ハンダ付けがヘタクソなのです。 これが本当の原因 とわかりました。

      • AN7418S を交換して直ったと思ったのは、交換の際に無意識にこの [C116] に触って一時的に接触回復したからでした。

      • [C116] のハンダ付けを正しくやり直しました。

  3. 修理後の動作チェック



リペア (その3):RCA 端子とボリュームのハンダクラック補修

  1. 概要

  2. 補修

  3. 補修後の動作チェック



再調整

  1. 電源電圧チェッック (VP)

  2. FM 受信部の調整

  3. 調整結果



使ってみました

  1. 修理&再調整が終わって

  2. 感度と音質