KENWOOD KT-727 (2号機) をゲット!
2026年8月13日、岩手県盛岡市の M さんより、KENWOOD KT-727 を研究用に寄贈いただきました。
KT-929
と兄弟機で、本機は弟になります。
程度&動作チェック
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寄贈者のコメント
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現状普通に使えていますが、詳しいことは分かりません。
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外観のチェック
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製造シリアル番号は [4ZK11161] で、電源コードの製造マーキングより [1984年製造品] と判明しました。
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[フロントパネル] は全体的に汚れがあり、右上エッジに少しキズがあります。
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[リアパネル] にはカビのような汚れがあります。
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[AM ANTENNA] 端子の左側のプラスチックトップが無くなっています。
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RCA 端子には輝きが残っています。
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天板にはこの上に乗っていたであろう機器の足形が薄っすらと見えますが、大きな問題はなくマシなほうです。
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底板は特に問題ありません。
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電源 ON してチェック
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良好に電源 ON でき、FLD 表示器は新品同様に明るく、ボタン操作も正常です。
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透明版の内側に汚れがあるようで、表示のコントラストが甘いです。
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FM 受信
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[TUNED] [STEREO] ランプが点灯して受信でき、綺麗な音が出ます。
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AUTO TUNINNG で放送局の正しい周波数で停止し、周波数ズレはありません。
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[79.5] [80.0] [81.3] [85.1] MHz の放送は受信できましたが、[89.7] MHz の放送が受信できません。
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大きな問題はないので、到着時のオーディオ性能を計測してみました。
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性能低下していますが、まだ実用的に使える範囲です。
| 項目 |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
stereo |
32 |
33 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
mono |
0.39 |
% |
| stereo |
0.39 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
stereo |
-43 |
-47 |
dB |
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] の添付がなかったので、右の写真の筆者が標準にしているループアンテナを接続してチェックしました。
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SONY ST-SA5ES などの大型ループアンテナです。
中古市場によく出ています。
横幅 28cm、高さ 12cm くらいのサイズです。
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感度的には良好ですが、1242kHz (ニッポン放送) 受信で 1134kHz (文化放送) と混信するので、相性はイマイチです。
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カバーを開けてチェック
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内部は綺麗で、[チューナ基板] には目視で明らかに劣化とわかる部品は見られません。
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[電源基板] を見ると4個の電解コンデンサで液漏れ跡があります。
交換要です。
リペア (その1):[電源基板] に液漏れした電解コンデンサがある
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概要
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[電源基板] に実装された電解コンデンサの4個に明らかな液漏れがありました。
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まだ電解液は基板には浸透していないので、今交換すれば将来の悲惨な事態を回避できます。
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修理
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液漏れした電解コンデンサ×4個と回路上交換を推奨する電解コンデンサ×2個を交換しました。
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下のリストのように交換しました。
耐熱の高いものに交換しています。
| 基板 |
部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| 電源基板 |
C1 |
220uF/35V (85℃) |
220uF/35V (105℃) |
念のため交換 |
| C4 |
330uF/50V (85℃) |
560uF/50V (105℃) |
液漏れのため交換 |
| C9 |
2200uF/25V (85℃) |
2200uF/35V (105℃) |
液漏れのため交換 |
| C10 |
1000uF/35V (85℃) |
1000uF/35V (105℃) |
液漏れのため交換 |
| C18 |
470uF/16V (85℃) |
470uF/16V (105℃) |
念のため交換 |
| C20 |
47uF/16V (85℃) |
100uF/25V (105℃) |
液漏れのため交換 |
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左の写真は交換後で、黄枠の中にある電解コンデンサを交換しています。
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右の写真は、これまで基板に実装されていた液漏れ発生などの古い電解コンデンサです。

リペア (その2):85.1MHz 以下の放送は受信できるが、89.7MHz の放送が受信できない
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調査と原因
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ある周波数より高い放送が受信できない原因は VT 電源の故障がほとんどです。
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VT 電源の電圧を測定すると +28.9V で正常でした。
これが原因ではありません。
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表示器に 90MHz を表示された時の VT 電圧は +28.9V で限界まで上がっていました。
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ここは +25V が正しいです。
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OSC トリマコンデンサを仮調整して +25V にしたら、全ての周波数で受信可能になりました。
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原因は OSC トリマコンデンサの調整ズレです。
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修理
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後述の再調整で OSC トラッキング調整して完全に直りました。
リペア (その3):その他
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フロントパネルの透明版の内側に汚れがある
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フロントパネルを分解して清掃しました。
ビッシリとゴミが堆積していまいした。
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プロ用のクリーナ
NEW プロインパクト中性
と無水アルコールを使いました。
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清掃後は周波数などの表示がクッキリ・ハッキリとなり新品時の明るさになりました。
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[リアパネル] にはカビのような汚れがありる
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[フロントパネル] は全体的に汚れがあり、右上エッジに少しキズがある
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自動車用タッチアップペイント黒を使ってキズ部分を補修塗りして目立たなくなりました。
再調整
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電圧チェック (VP)
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修理後の各種電圧は下のように良好です。
| VP |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 |
電源基板 or チューナ基板 |
CN7-4pin |
+5.6V |
+5.73V |
〇 |
デジタル系 |
| CN7-5pin |
-13V |
-12.7V |
〇 |
アナログ系 |
| CN7-6pin |
+13V |
+12.7V |
〇 |
| CN7-7pin |
+24.5V |
+28.9V |
〇 |
VT 電源 |
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FM/AM 受信部の調整
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再調整結果
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FM 受信部
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FM フロントエンドのトラッキング調整が大きくズレていました。
再調整でビックリの感度が5倍になりました。
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PLL 検波の同調点がマージン限界までズレていました。
再調整で規定内に入りました。
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再調整で全ての性能値が劇的に上がり、高解像度の音に変身しました。
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やはり、KT-727 は
KT-929
の流れをくむ素晴らしいチューナです。
| 項目 |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
stereo |
70 |
62 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
mono |
0.020 |
% |
| stereo |
0.021 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
stereo |
-71 |
-68 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
mono |
0 |
+0.04 |
dB |
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AM 受信部
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[純正 AM ループアンテナ] がなかったので、IF 調整だけしました。
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どうせ、AM 放送は2028年に終了するので、あまり気にしないことにします。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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到着時にガタガタに調整がズレていました。
おそらく保管環境が悪くて経年変化が大きく進んでいたのでしょう。
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修理&再調整後は感度もオーディオ性能も劇的に向上し、全く別物とも言える優秀な状態になりました。
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また、フロントパネルの透明板内側の清掃で別物とも言えるコントラストの高い表示になりました。
高級感も出ました。
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あたらめて KT-727 は素性の良いチューナと認識しました。
受信性能も音も良いので、これで十分という気がします。
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デザイン
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高級感はあまり感じられない筐体ですが、無駄がない感じはします。
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操作系は極めてシンプルです。
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通常は FM/AM を選択してプリセットボタン(選局)を押すだけです。
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放送局のプリセットメモリは FM 6局+AM 6局分しかなく、ちょっと少ないです。
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FM アンテナ入力は F 端子なので外来ノイズに強いです。
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とてもコンポ用チューナと思えません。
手抜きがなくキチンと作られています。
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感度や音質
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FM の感度、セパレーション、音質とも非常に良いです。
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FM の音質に関しては
KT-929
とほぼ同じです。
さわやかで歪感の全くない音です。
ともかく音がクリアです。
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AM の感度はかなり良いです。
IF WIDE 端で聴く AM 放送はビックリするほど音が良いです。