KENWOOD L-03T (12号機)

KENWOOD L-03T (12号機) が到着

2026年8月10日、福岡市早良区の H さんより KENWOOD L-03T の修理依頼品が到着しました。

定価12万円 の FM 専用高級チューナ です。

この写真は照明を LED 化した後です。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観のチェック

  3. 電源 ON してチェック

  4. 修理依頼者のコメントにある不具合 (かもしれない) のチェック

    1. REC CALが動作しない

      • 確認できませんでした。 [REC CAL] スイッチ ON で正常にテスト音が出ます。

    2. 電源スイッチを入れて、S メータが振れるまでに数秒(3~5秒)かかる

      • 実測4秒84です。 L-03T としては正常です。

    3. S メータの振れが、電源 ON 直後は4前後で、時間経過と共に5の直前を指す

      • 筆者の電波環境では電源 ON 直後から S メータの振れは 4.9 で、確認できませんでした。

      • 間違いなく、筆者の電波環境より修理依頼者の電波レベルが低いです。 筆者の電波レベルは 85dB 程度あります。

      • また、機器の動作が安定するには30分は必要です。 時間と共に S メータの振れが大きくなるのは全く問題ないです。

    4. 周波数ズレがある

      • 修理依頼者は周波数ズレが完全に無いようにできると誤解されているようです。

        • バリコンや糸掛け機構というメカニカルなアナログ機構なので、精度による誤差は必ず生じます。

        • 周波数ズレが許せないなら、電子同調のシンセサイザ式チューナを使うしかないです。

      • 修理依頼者は「周波数目盛板がズレているのでは」と心配されていますが、これはないです。

        • [周波数目盛板] を取り付け直してもズレは 1mm も発生しない構造になっています。

      • 78~88MHz でズレが ±0.1MHz 以内、この周波数外ではズレが ±0.2MHz 以内は正常範囲です。

      • 本機の周波数ズレを測定した結果は以下です。 これを見ると概ね正常範囲に入っています。

        SSG 周波数 (MHz) 76 78 80 82 84 86 88 90
        指針が示す周波数 (MHz) 75.96 78.00 80.02 82.02 83.98 85.90 87.86 89.86
        周波数ズレ (MHz) -0.04 0 +0.02 +0.02 -0.02 -0.10 -0.14 -0.14

    5. Σケーブルでアンプに接続しているが、思ったより音が良くない。 KT-1100 より音が劣るような気がする。

      • これは個人個人の感性というアナログ的評価なので何ともコメントできません。

      • KT-1100 より音が劣るとのことですが、[KT-1100 はパルスカウント検波] [L-03T は PLL 検波] で音が違うのは事実です。

        • たぶん、修理依頼者の耳がパルスカウント検波好みなのではないでしょうか。 筆者もパルスカウント検波の音のほうが好みです。

      • 筆者の環境で試聴してみましたが、特に問題を感じません。 なお、再調整で音質が改善する場合があります。

      • 下は到着時のオーディオ性能を測定したものです。 これを見る限り問題は無さそうに思います。

        項目 IF BAND stereo/mono L R 単位
        ステレオセパレーション (1kHz) WIDE stereo 44 42 dB
        高調波歪率 (1kHz) WIDE mono 0.015 %
        stereo 0.015 %
        パイロット信号キャリアリーク WIDE stereo -53 -61 dB

  5. カバーを開けてチェック



リペア (その1):メータ照明 LED 化

  1. リプレースに使う LED と照明回路

  2. テープ LED 取り付けの様子

  3. メータを L-03T に組み込みました

  4. LED 化完成



リペア (その2):バリコンの軸と接触プレートの間に緑青サビが出ている

  1. 概要

  2. 修理

    以下のようにバリコン軸の接触回復作業をしました。

    1. エレクトロニッククリーナ を軸受けに噴射し何度もバリコン羽を動かすと緑青サビが湧き出てきます。

    2. 湧き出た緑青サビを 爪楊枝/歯間ブラシ/歯間糸楊枝 を使って丹念に落とします。

    3. [1] と [2] を何度も何度も繰り返します。

    4. 接点復活スプレー を軸受けに少量吹きかけ馴染ませます。

    5. 仕上げに、軸受けにリチウムグリスを塗布して防錆処置します。

  3. 修理後の動作チェック



リペア (その3):ハンダクラック予防補修

  1. ハンダクラックしやすい箇所

  2. 修理 (予防補修)



再調整

  1. 電圧チェック (VP)

  2. FM 受信部の調整

  3. 調整結果



使ってみました

  1. 修理&再調整が終わって

  2. デザイン

  3. 感度や音質