KENWOOD L-03T (5号機) が到着
2024年2月26日、岩手県一関市の S さんから
KENWOOD L-03T
の修理依頼品が到着しました。
定価12万円
の
FM 専用チューナ
です。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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KENWOOD L-03T を入手しました。
修理&再調整お願いします。
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外観
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製造シリアル番号は [3XK10154] で、電源コードの製造マーキングより [1983年製造品] とわかりました。
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互換品ですが [Σケーブル] が付属していました。
コピーですが [取扱説明書] が付属していました。
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ほぼキズなどは無く、とても綺麗な逸品です。
新品同様です。
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電源 ON してチェック
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電源は問題なく入り、各種スイッチの動作も正常です。
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ランプ切れはありませんというか、既に LED 化されています。
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少しチラツキがあるのでわかります。
ここはこのままとします。
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[STEREO] ランプが点灯し、問題なく受信できます。
音も良いです。
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[REC CAL] スイッチ ON で録音用テスト音が正常に出ます。
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以上より、特に問題なさそうです。
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カバーを開けてチェック
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内部は綺麗で基板の汚れも清掃済みのようです。
目視で劣化とわかる部品は見当たりません。
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左の写真の黄〇で囲んだように、OSC トリマコンデンサの容量抜け対策済でした。
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フロントエンド内のトリマコンデンサを除去し、代わりに別のトリマコンデンサを外付けしています。
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対策としては正しいので、ここはこのままとします。
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右の写真の黄〇で囲んだように、バリコンギア機構のプーリー軸が外れかかっています。
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黄〇に隙間が見えますが、この隙間がないのが正常です。
隙間があるとバックラッシュが大きくなります。
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更に間隔が広がってプーリー軸が脱落すると修理不能になります。
対策が必要です。

Σケーブルがどういう構造になっているか調査してみた
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概要
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本機にたまたまオーディオ出力用 [Σケーブル] が付属していたので調査してみました。
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ただし、付属していたのは KENWOOD オリジナルではなく互換品です。
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右の写真が、今回添付された [Σケーブル] です。
互換品ですがシッカリとした作りでした。
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結果
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下の回路図の上側の部分が [Σケーブル] です。
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ケーブル結線図だけでは動作が把握できないので、L-02T の [Σケーブル] 周りの回路も掲載しました。
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原理的には、RCA プラグまでを NFB ループに入れて、ケーブルを含めた AF 特性を補償する方式とわかりました。
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予想通りの構造でした。
今回、それが確認できて良かったです。
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[コネクタ型式] [ケーブル型式] も回路図に書き込んだので、器用な方なら自作も可能と思います。

リペア:バリコンギア機構のプーリー軸の脱落防止
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バリコンギア機構のプーリー軸の固定が外れている
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放置するとプーリー軸が脱落し、ギア機構がバラバラになります。
こうなると修復不能になります。
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どうやって固定しているのか不明なので、バリコンメーカでないと直せないです。
でもメーカ対応していません。
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そこで、プーリー軸が脱落しない対策をします。
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修理
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まずは、左の写真のようにプーリーの留め位置を左に少しズラして、プーリー軸の先端が最先端になるようにしました。
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[側板]~[プーリー軸先端] の間に [特注アクリル板] を挿入して、側板から押さえ込んで脱落防止します。
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寸法測定すると [側板]~[プーリー軸先端] の間隔が 8mm 弱でした。
これより、7mm 厚が適合するとわかりました。
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当方で常備している [特注アクリル板] の [50×50×5mm] [50×50×2mm] を貼り合わせて 7mm 厚として使いました。
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これを右の写真のように右側板にボンドで接着しました。
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天板 (側板) を被せて完成です。
直りました。

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修理後の動作確認
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[TUNING] ノブを回してもバックラッシュが発生せず、指針がスムーズに動くことを確認しました。
直りました。
再調整
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電圧チェック (VP)
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以下のように正常です。
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
| Q42-E |
+12V |
+11.7V |
〇 |
| IC24-OUT |
+8V |
+7.98V |
〇 |
| IC23-OUT |
-8V |
-8.02V |
〇 |
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FM 受信部の調整
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調整結果
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ステレオセパレーションと高調波歪率が向上し、素晴らしい音質になりました。
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各種性能は、以下の優秀な数値になりました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
70 |
63 |
dB |
| NARROW |
41 |
42 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.015 |
% |
| stereo |
0.016 |
% |
| NARROW |
mono |
0.017 |
% |
| stereo |
0.017 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-83 |
-87 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
WIDE |
mono |
0 |
+0.11 |
dB |
| REC CAL 信号 |
WIDE |
mono |
441.4 |
Hz |
| -7.5 |
dB |
使ってみました
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本機の再調整を終わって
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今回 [Σケーブル] の構造がわかってラッキーでした。
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到着時よりさほど問題はなかったのですが、更にハイスペックにできて良かったです。
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デザイン
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ダイヤルスケールは最前面で照明はありませんが見易いです。
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黒いダイヤルスケールと赤い指針のマッチングが良いです。
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チューニングノブはタッチセンサになっています。
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[LOCK] スイッチ ON で同調サーボロックがかかります。
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感度や音質
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このクラスになると流石に良い
です。
安定度とか音質とかスペック表現できない部分が超優れています。
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感度が良く、高解像度でカチッとした超高音質です。
高域も低域もよく出ています。
S/N も良いです。
性能は超一流です。
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高解像度の音なのにハーモニー再現力もあります。
音に余裕があると言うか、この辺りが一般機との差です。