Marantz ST6000 (4号機) が到着
2025年12月14日、千葉県松戸市の K さんから Marantz ST6000 の修理依頼品が到着しました。
今や黄昏の AM Stereo 対応チューナです。
それどころか2028年には現在の AM 放送がほぼ消滅します。
ワイド FM に移行します。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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周波数ズレがありますがありますが問題なく受信できています。
修理&再調整をお願いします。
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外観のチェック
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製造シリアル番号は [MZ010223001312] で、電源コードの製造マーキングより [2002年製造品] とわかりました。
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[純正 AM ループアンテナ] が添付されていました。
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全体がとても綺麗な逸品です。
リアパネルの端子類はピカピカの輝きがあります。
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電源 ON してチェック
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電源は問題なく入り、ディスプレイは痩せていますがまだまだ使えます。
各ボタン操作で正常に反応します。
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RCA 端子に挿入したプラグを揺すると音が途切れることがあり、端子がハンダクラック気味と思います。
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FM 受信
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-0.05MHz の周波数ズレがあります。
80MHz 放送が 79.95MHz で受信。
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感度落ちはないです。
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-0.05MHz ズレた周波数で [TUNED] [STEREO] 表示が出て音も出て正常に受信できます。
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AM 受信
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添付された [純正 AM ループアンテナ] を接続してチェックしました。
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感度良く特に問題なく受信できました。
特に問題なさそうです。
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カバーを開けてチェック
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本機は密閉構造に近いため、内部は非常に綺麗でした。
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基板を目視チェックして明らかに劣化とわかる部品は見当たりません。
リペア (その1):RCA 端子がハンダクラック気味
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概要
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リアパネルにある端子類のリードは基板に直接ハンダ付けされています。
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このハンダ付け部分は常にリアパネルと基板の2方向からストレスを受けているので、ハンダクラックしやすいです。
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修理 (補修)
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左の写真は RCA 端子、右の写真は FM/AM アンテナ端子の後ろ側で、リードが直接基板にハンダ付けされています。

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基板を取り出してこれらのリードを裏側で補修ハンダ付けしました。
リペア (その2):FM で -0.05MHz 周波数ズレしている
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原因
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クォードラチュア検波の調整が経年変化でズレたのが原因です。
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右の写真の2個の IFT はクォードラチュア検波コイルです。
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左側 IFT は高調波歪率調整、右側 IFT は同調点調整です。
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今回、同調点電圧が 600mV となっており、完全にズレていました。
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この電圧の調整目標値は 0±10mV なので全然ダメです。
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修理 (再調整)
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後述の「再調整」でこれらの IFT を調整し直し直りました。
再調整
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電圧チェックポイント (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
| J226 (15V) |
+15V |
+14.9V |
〇 |
| J227 (5.6V) |
+5.6V |
+5.59V |
〇 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信部
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FM フロントエンドのトラッキング調整でほんの少し感度が上がりました。
調整ズレはほぼなし。
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同調点調整が大きくズレていました。
再調整で規定内に入りました。
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再調整により、ステレオセパレーションと高調波歪率が大きく改善し、優れた音質になりました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
50 |
50 |
dB |
| NARROW |
47 |
49 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.091 |
% |
| stereo |
0.091 |
% |
| NARROW |
mono |
0.12 |
% |
| stereo |
0.12 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-74 |
-73 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0 |
+0.04 |
dB |
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AM 受信部
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SONY ST-SA5ES の純正 AM ループアンテナで調整しました。
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このアンテナで調整しても調整ズレはほぼありませんでした。
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純正アンテナではないので、最高感度が出ている保証はありません。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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性能的には特に大きな問題がない状態良好な個体でした。
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修理&再調整で新品時の性能に戻りました。
ディスプレイの輝度がやや劣化しているのが残念です。
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デザイン
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フロントパネルは分厚いシャンパンゴールドのアルミ材で豪華です。
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[DISPLAY] ボタンを押すと電波レベルを dB 表示するのがよいです。
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あまり正確ではありませんが、測定器のような精密さを感じます。
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プリセットメモリは FM/AM それぞれ30局分あります。
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FM アンテナ入力は F 端子なので妨害電波を拾いにくいです。
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FM の受信性能&音質
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このクラスとしてはキチンと製作されており、感度や妨害波排除能力は良いです。
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音はクォードラチュア検波特有の柔らかさの中にも解像度を感じる音質です。
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AM の受信性能&音質
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感度は普通です。
それほど良くはないです。
AM にしては音が良いと感じます。