Nakamichi Tuner 2 (2号機) が到着
 2023年11月27日、埼玉県入間市の H さんから [Nakamichi Tuner 2] の修理依頼品が到着しました。
2023年11月27日、埼玉県入間市の H さんから [Nakamichi Tuner 2] の修理依頼品が到着しました。
FM 専用機
で、ゾクッとするデザインの良さを感じます。
この機種は中古市場でほとんど見かけることはなく
希少品
です。
Nakamichi ファン感涙の逸品!!!
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
 
 
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機会があれば・・と思っていた機体ですがこの度、入手することが出来ました。
 
 
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中央上部に細かいが目立つ傷が散見され、ちょっと残念な機体です。
 
 
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デザインは唯一無二の独自性があり、所有する喜びを持たせてくれる一台です。
入手出来たのはラッキーでした。 
 
 
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状態をチェックしましたが、操作・同調・出力等問題はないようです。
ただ、感度が少し弱いような気がします。
 
 
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この機種で採用されている検波システムは定期的に調整が必要との事でメンテナンスをお願いします。
 
 
 
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外観
 
 
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製造シリアル番号は [C107 03549] で、電源コードの製造マーキングは [1991年] でした。
 
 
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全体にかなり綺麗です。
キズはほぼなく良い状態です。
端子類にサビは出ていません。
 
 
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よくよく見ると [中央上部にポツッとしたハゲ] [ディスプレイの透明板にスレ] がありますが、そう目立たないです。
 
 
 
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電源 ON してチェック
 
 
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表示器の輝度は全く問題なく良好です。
ノブ及びボタンの操作は正常にできます。
 
 
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ステレオ受信でき、感度も問題なさそうです。
 
 
 
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カバーを開けて内部をチェック
 
 
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密閉構造ということもあり、内部は非常に綺麗です。
 
 
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メモリバックアップ用の [B601] コイン電池が寿命になっており、出力電圧は 0V になっていました。
 
 
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放置すると [液漏れ] か内部ガス発生で最悪 [爆発] に至るかもしれません。
 
 
 
 
リペア (その1):コイン電池が寿命になっている
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従来の [B601] コイン電池
 
 
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左の写真で橙色の丸い部品は従来のコイン電池 [CR2430FT] です。
 
 
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回路図には [LR2430FT] と明示されていますが、実際には [CR2430FT] が実装されていました。
 
 
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タブ付きで、タブを基板にハンダ付けしているので、残念ながらユーザで交換できません。
 
 
 
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一般の電気二重層コンデンサによるバックアップは1か月程度ですが、コイン電池では20年も持ちます。
 
 
 
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[B601] を CR2032 ソケット化
 
 
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[CR2430FT] を右の写真のように CR2032 ソケット化して [CR2032] コイン電池を実装しました。
 
 
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ソケット化したので、ユーザで簡単に電池交換できるようになりました。
コイン電池を上に引き抜いて交換します。
 
 
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写真の手前側が+
です。
ソケットにも+表示があります。
回路にダイオードが入っているので、間違って逆挿入しても壊れることはありません。
 
    
 
 
 
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[CR2430]→[CR2032] にリプレースしたことの考察
 
 
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リチウム電池の [CR2430] も [CR2032] も出力電圧は 3V で電圧互換性あります。
 
 
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違うのは容量です。
[CR2430] 300mAh に対し [CR2032] 220mAh で、[CR2032] は [CR2430] の 73% の容量です。
 
 
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[CR2430] での電池寿命は20年程度ですが、[CR2032] では15年となります。
15年でも十分と思います。
 
 
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そして、[CR2032] は何より入手しやすく安いのです。
100円ショップでも買えます。
ダイソーでは3個で110円です。
 
 
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これだけ安いのなら、安全・安心を考慮して10年に1回交換することをお奨めします!!!
 
 
 
リペア (その2):ハンダクラック対策
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Tuner 2 においてはリアパネルにある端子のリードを基板にハンダ付けする部分でハンダクラックが発生しやすい
 
 
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これはリアパネルと基板の2方向からタワミが発生しリードにストレスがかかるためです。
 
 
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左の写真は [アンテナ端子]、右の写真は [RCA オーディオ出力端子] のハンダ付け部分です。
 
 
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黄色矢印のグランド端子でハンダクラックしており、完全にクラックしてしまうと左右逆相の音が出てしまいます。
 
    
 
 
 
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修理
 
 
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[アンテナ端子] [RCA オーディオ出力端子] の全てのハンダ付け部分を補修ハンダ付けして直りました。
 
 
 
再調整
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電源電圧チェック (VP)
 
 
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実測値は以下のように良好でした。
 
 
 | VP | 標準電圧 | 実測電圧 | 判定 | 備考 |  
 | J40 | +13V | +12.6V | 〇 | アナログ系 |  
 | J52 | -13V | -12.5V | 〇 |  
 | CP102-2pin | -30V | -31.3V | 〇 | FL |  
 | CP102-4pin | +5.6V | +5.73V | 〇 | デジタル系 |  
 
 
 
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FM 受信部の調整
 
 
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調整結果
 
 
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フロントエンドでややトラッキング調整ズレがありました。
再調整で少し感度が上がりました。
 
 
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ステレオセパレーションは再調整で大きく向上し、音の解像度がぐっと上がりました。
 
 
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下のようにステレオセパレーションと高調波歪率が素晴らしく良いです。
やはり Tuner 2 は優秀です!
 
 
 | 項目 | IF BAND | stereo/mono | L | R | 単位 |  
 | ステレオセパレーション (1kHz) | Wide | stereo | 70 | 68 | dB |  
 | Narrow | 62 | 62 | dB |  
 | 高調波歪率 (1kHz) | Wide | mono | 0.028 | % |  
 | stereo | 0.028 | % |  
 | Narrow | mono | 0.18 | % |  
 | stereo | 0.18 | % |  
 | パイロット信号キャリアリーク | Wide | stereo | -62 | -65 | dB |  
 | オーディオ出力レベル偏差 | Wide | mono | 0 | +0.14 | dB |  
 
 
 
使ってみました
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既成概念にとらわれない、素晴らしい左右対称デザイン!
 
 
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 日本製品でないような秀逸なデザインで、
Nakamichi ファン感涙の逸品! 日本製品でないような秀逸なデザインで、
Nakamichi ファン感涙の逸品!
 
 
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フロントパネルは黒の梨地仕上げのアルミ材を使っており、重厚感があります。
 
 
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表示器は薄黄色がかった FL 管で、その表示は上品です。
 
 
 
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受信性能
 
 
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3連バリキャップフロントエンドに関わらず、感度と妨害電波排除能力は良好です。
 
 
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音質は安定感のある明瞭だけれどソフトな音です。
なかなか良好な音です。
 
 
 
 
