QUAD FM3

QUAD FM3 が到着

2026年4月10日、長崎県大村市の F さんより QUAD FM3 の修理依頼品が到着しました。

FM 専用高級機です。 横幅 260mm でコンパクトです。 本棚にも入りそうです。

1967年の発売当初の定価は不明ですが、外観が同じで中身が変更された FM3 が長年製作され、1981年モデルは 11万円 だったようです。

最初期モデルと最終期モデルでは回路が全然違うのに同じ FM3 という型番で販売されていました。 本機は最終期モデルです。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観のチェック

  3. 電源 ON してチェック

  4. カバーを開けてチェック



カバーを開けてみました

  1. FM3 は3タイプあり

  2. 素晴らしい作り 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

     

  3. フロントエンド

  4. IF & 検波部

  5. MPX 部



リペア (その1):[IFT1] [L6] のコアが割れている

  1. コア割れ状態

  2. 修理



リペア (その2):フィラメントランプを LED 化

  1. 概要

  2. LED 化前後の回路

  3. LED 化工作



リペア (その3):[STEREO] ランプが点灯しない

  1. 調査と原因

  2. 修理

  3. 修理後の動作チェック



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。
  

※この調整手順は製造シリアル番号が10000以降に対応します。

  1. 調整ポイント

    基板 セクション 種別 調整ポイント 調整内容
    チューナ基板 フロントエンド L L1
    L2
    RF トラッキング
    TC C1
    C10
    L L3 OSC トラッキング
    TC C17
    IFT IFT1 IF
    検波 IFT L6 QR 検波 IFT
    L L7 stereo セパレーション調整 (高域イコライザ)
    VR RV3 検波出力レベル調整
    Muting L L4 Mute 検出ノイズ周波数調整
    VR RV1 Mute レベル調整 (リアパネルに設置)
    VR RV2 Mute DC Balance 調整
    MPX & PS 基板 MPX VR RV100 MPX VCO 調整 (19kHz)

  2. 電源電圧チェッックポイント (VP)

    基板 VP 標準値 実測値 判定 備考
    MPX & PS 基板 TR102-C +14V +13.5V 基板裏側の赤線でも測定可
    TR105-C -14V -13.8V 基板裏側の黒線でも測定可

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 FM3 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 CF カラーマーキングで IF 周波数 (fCF) を確認する

    本機の CF は [村田 SFG-10.7MA] で橙色の fCF = 10.73MHz だった
    2 - Mute Threshold:OFF 側に回し切る  
    3 fCF 100dB
    mono 1kHz
    - IFT1 [IC1] 13pin 電圧 = 最大 IF 調整
    4 L6 オーディオ出力 = 高調波歪最小 QR 検波調整
    5 RV2 同調ランプが最高輝度より若干低く
    2個のランプの明るさが揃う位置に
    RV2 を設定する
    同調ランプ調整
    6 78MHz 90dB
    無変調
    指針を 78MHz
    に合わせる
    L3 同調ランプ = 同調検出 OSC トラッキング調整
    周波数ダイヤルと指針を
    合わせるのが目的
    7 88MHz 90dB
    無変調
    指針を 88MHz
    に合わせる
    C17
    8 手順6~7を数回繰り返す
    9 78MHz 40dB
    無変調
    78MHz 受信 L1
    L2
    [IC1] 13pin 電圧 = 最大 RF トラッキング調整
    10 88MHz 40dB
    無変調
    88MHz 受信 C1
    C9
    11 手順9~10を数回繰り返す
    12 83MHz 90dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信 RV3 オーディオ出力 = 250mV オーディオ出力レベル調整
    13 83MHz 90dB
    無変調
    RV100 [IC2] 10pin 周波数 = 19kHz±30Hz
    周波数カウンタで測定
    MPX VCO 調整
    14 83MHz 90dB
    stereo 1kHz L+R
    IFT1 オーディオ出力 = 高調波歪最小 stereo IF 歪補正
    ±90度の範囲で調整
    15 83MHz 90dB
    stereo 1kHz R/L
    L7 オーディオ出力 (L/R) = 最小 stereo セパレーション調整

  4. 調整結果



使ってみました

  1. 修理&再調整が終わって

  2. 小気味良い QUAD デザイン

  3. 使い方

  4. 感度と音質



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    FM 受信部
    受信周波数範囲 76~90MHz
    感度
    アンテナ入力 75Ω不平衡 / 300Ω平衡
    フルリミッティング 2uV より
    イメージリジェクション 56dB
    IF リジェクション 80dB
    400kHz 選択度 46dB
    キャプチャーレシオ 3dB
    IF バンド幅 ±120kHz : -3dB 以下
    ±400kHz : -60dB 以上
    38kHz 以上の出力 -56dB
    周波数特性 20Hz~15kHz ±1dB
    チャンネルセパレーション (1kHz) 40dB
    歪率 (1kHz) 0.3% (±40kHz ディビエーション)
    出力 100mV (30%変調)
    ソースインピーダンス 5kΩ
    推奨ロードインピーダンス 50kΩ 以上
    推奨ロードキャパシティ 1000pF 以下
    ディエンファシス 50us
    電源 AC100~125V/200~250V, 50/60Hz
    消費電力 6VA
    外形寸法 260(W)×92(H)×165(D)mm
    重量 2.7kg
    その他
    発売時期 (最初期モデル) 1967年
    価格 (最初期モデル) (不明)