SONY ST-S500 (2号機) をゲット!
2026年8月18日、東京都練馬区の S さんより
SONY ST-S500
を研究用に寄贈いただきました。
AM STEREO 対応が売りのチューナでしたが、現在では AM STEREO は消滅しました。
それどころか AM 放送自体が2028年にほぼ消滅します。
程度&動作チェック
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寄贈者のコメント
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外観のチェック
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製造シリアル番号は [214757] で、電源コードの製造マーキングより [1995年製造品] とわかりました。
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[純正 AM ループアンテナ] [取扱説明書]
が付属していました。
ST-SA5ES の AM ループアンテナと同じです。
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汚れはありますが、ほぼキズがなく良い状態です。
リアパネルの端子類には新品時に近い輝きがあります。
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[TUNING] ノブの動きが重い (硬い) です。
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電源 ON してチェック
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問題なく電源が入り、ディスプレイは新品同様のクッキリ・ハッキリ状態で、ボタン操作も正常でした。
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FM 受信
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AUTO TUNING で放送局が見つけらず永遠に周波数スキャンを繰り返します。
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手動で放送局の周波数に同調すると [S メータ] がフルに振れますが、[TUNED] [STEREO] 表示が出ません。
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この状態で MUTING = ON では音が出ず、OFF にすると音が出ましたがレベルが低い気がします。
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AM 受信
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カバーを開けてチェック
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内部は非常に綺麗で、基板には目視で明らかに劣化とわかる部品は見当たりません。
リペア (その1):[TUNED] [STEREO] 表示が出ない
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原因
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[TUNED] 表示は同調点検出すると出ます。
そして [TUNED] 表示が出ないと [STEREO] 表示も出ないロジックになっています。
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FM 同調点電圧を [TP1] で測定すると 73mV でした。
ここの調整目標値は 0±2mV なので全然ダメです。
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[TUNED] [STEREO] 表示が出ない原因は、FM 同調点電圧が異常値になっているからです。
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修理
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通常は同調点調整用 IFT の [T21] を調整すると直るのですが、コアを回しても S カーブが出ず [T21] 故障でした。
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左の写真で黄枠で囲んだ IFT が {T21] です。
これを右の写真のように取り外しました。

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左の写真は [T21] の裏側です。
チクワの形をしたチタコンが真っ黒になって故障しています。
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チタコンを除去して [T21] を基板に戻しました。
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除去したチタコンの代わりに、右の写真のように [C0G 30ppm/℃ 温度補償積層セラミックコンデンサ 82pF] を基板の裏側に取り付けました。

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修理後の動作チェック
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[T21] のコアを回すと正常な S カーブが出るようになったので、FM 同調点電圧を 0V に調整しました。
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[TUNED] [STEREO] 表示が出るようになり、正常なレベルの音が出るようになりました。
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AUTO TUNING してみて放送局の正しい周波数で停止するようになりました。
不具合は全て直りました。
リペア (その2):[TUNING] ノブの動きが重い
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原因
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[TUNING] ノブはロータリエンコーダ軸に取り付けられています。
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このロータリエンコーダ軸の潤滑グリスが固化したのが原因です。
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修理
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左の写真は [TUNING] ノブで、これを手前に引き抜くとノブが外れます。
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右の写真は [TUNING] ノブを外して見えるロータリエンコーダ軸です。
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黄矢印で示した軸の隙間に、注射器を使ってほんの少し無水アルコールを注入します。
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軸をグルグル回すと固化したグリスが溶解して動きが軽くなってきます。
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好みの軽さになるまで、手順1~2を繰り返します。

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修理後の動作チェック
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適度な軽さで [TUNING] ノブを軽快に回せるようになりました。
リペア (その3):その他
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天板のクリーニング
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天板の汚れは、中性洗剤を使って水洗いしてかなりマシになりましたが、所々にガムテープ跡のような粘着性汚れが残りました。
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この粘着性汚れの1箇所を OA クリーナで除去してみたところ、この部分の黒塗装が剥がれました。
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どうやら黒塗料の劣化のようです。
今回は未実施ですが、天板を再塗装したほうがよいと思います。
再調整
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電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
| 基板 |
VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
備考 |
| 電源基板 |
-30V |
-29.6V |
-32.8V |
〇 |
FL |
| 5V |
+5.6V |
+5.60V |
〇 |
デジタル系 |
| 13V |
+13.1V |
+13.2V |
〇 |
アナログ系 |
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FM/AM 受信部の再調整
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再調整結果
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FM 受信
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ステレオセパレーションや高調波歪率は十分普通に使える性能になりました。
キャリアリーク値も優秀です。
| 項目 |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
stereo |
47 |
45 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
mono |
0.21 |
% |
| stereo |
0.21 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
stereo |
-77 |
-71 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
mono |
0 |
+0.09 |
dB |
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AM 受信
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付属の [純正 AM ループアンテナ] で最高感度になるように再調整しました。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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到着時はステレオにならない寝ぼけたような音でしたが、修理&再調整で音にシャープ感と解像度が蘇りました。
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FM フロントエンドは4連バリキャップで高周波性能は良いです。
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値段は安いですが、十分実用になる普段使いできるチューナです。
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デザイン
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ルックスは中級機以上で非常に良好です。
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フロントパネルのデザインは所謂 SONY デザインで非常に良好です。
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フロントパネルの材質は2万円台のチューナに関わらず、本格的なアルミ材です。
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[TUNING] ノブがアルミで大きく質感があります。
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筐体の足は高級そうに見える立派なものです。
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ボタントップはプラスチックですが安っぽさを感じません。
サビないので、かえって良いかも。
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プリセットメモリは全部で30局分でランダム記憶できます。
使い切れないです。
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プリセット局に4文字までの英数字を記憶させる機能があります。
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FM アンテナ端子は本物の F 端子でとても良いです。
AM アンテナ端子はターミナル型です。
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感度と音質
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FM の感度は良く、フロントエンドが4連バリキャップ式なので妨害電波排除能力が高いです。
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FM はクォードラチュア検波にも関わらず良い音です。
音に鋭さも感じます。
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AM は感度は良いですがナロー音質で普通です。
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2万円台のチューナとしてこのルックスと性能はお買い得と言えます。