Technics ST-9700 (2号機) が到着
2026年7月8日、石川県能美市の K さんより
Technics ST-9700
の修理依頼品が到着しました。
1974年発売の
定価25万円の超高級 FM 専用チューナ
です。
1974年の大卒初任給は78,700円です。
よって、この頃の25万円は現在の貨幣価値に換算すると50万円以上です。
この写真は照明を LED 化した後です。
ウォームホワイト色 (電球色) LED を使ったので暖かい雰囲気はそのままデコントラストの高い表示になりました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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オークションで動作未確認のジャンク品を購入しました。
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購入時は、あまりに汚い状態だったので、分解して徹底的に掃除をしたので、今は綺麗だと思います。
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天板、底版、フロントパネルはカーシャンプーで洗いました。
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音は出ますが、たぶん色々と狂っていると思います。
照明は全て「球切れ」です。
内部の部品は一切触っていません。
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外観
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製造シリアル番号は [B41114B003] で、電源コードの製造マーキングより [1974年製造品] とわかりました。
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フロントパネル
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最前面にあるべき透明ガラスが取り外されて欠品しています。
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レバースイッチ×3個のスイッチトップが取り外されて欠品しています。
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なぜか? [output level] [selector] ノブが相互に逆に付いています。
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分厚いアルミ製のフロントパネルの天板への折り返しエッジ、底板への折り返しエッジに少し塗装ハゲがあります。
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リアパネルは綺麗ですが、RCA 端子などに白いサビが出ています。
軽度なので特に問題ないです。
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上記の他は特に指摘するような損傷はなく、半世紀物ビンテージとしては綺麗なほうです。
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電源 ON してチェック
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電源は入るのですが、照明ランプが全て切れています。
[STEREO] ランプも切れています。
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[TUNING] ノブを回していると途中で「キュルキュル」のような異音が出ます。
ノブ軸のグリス切れかな?
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FM 放送を受信すると、[S メータ] [T メータ] はまあまあ正しそうに振れてまあまあ綺麗な音が出ます。
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[S メータ] のピークと [T メータ] のセンタが合いません。
おそらく、FM 同調点ズレがあるのでしょう。
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[T メータ] をセンタ位置から少しズラして、[TUNING] ノブから手を離すとセンタに引き込まれます。
サーボロックは正常です。
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以上のように動作して音は出るので、現状の性能値を測定してみました。
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なんと! ステレオセパレーションがゼロになっています!!!
| 項目 |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
stereo |
0 |
0 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
mono |
0.54 |
% |
| stereo |
0.54 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク (固定出力) |
stereo |
-63 |
-63 |
dB |
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カバーを開けてチェック
リペア (その1):照明の LED 化
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概要
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本機は照明用フィラメントランプ全部と [STEREO] 表示ランプが切れていました。
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このままでは調整しにくいので、真っ先に照明を回復させることにしました。
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もう日本ではフィラメントランプは製造されていません。
将来を考えると照明を LED 化するしかないです。
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ダイヤルとメータ照明の LED 化
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オリジナルの照明回路
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電源トランスの専用巻線でダイヤルとメータ照明のフィラメントランプを駆動します。
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6.3V/0.25A のランプが8個なので、6.3V×0.25A×8個=12.6W も電力消費します。

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使用する LED
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ダイヤル照明には左の写真の [10mm 幅ウォームホワイト色 テープ LED] を使います。
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単位ごとに切り出して使えます。
1単位は LED 3個に相当し、13単位に切り出したものを2枚使います。
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従って、LED 数は 3LED×13単位×2枚=78 とものすごい数になります。
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メータ照明には右の写真の [ 5mm 幅ウォームホワイト色 COB テープ LED] を使います。
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COB テープ LED の照射角は180度もあります。
超広角 LED です。
5mm 幅なので狭い箇所にも使えます。
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単位ごとに切り出して使えます。
1単位は LED 2個に相当し、メータあたり6単位に切り出したものを2枚使います。
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従って、LED 数はメータあたり 2LED×6単位×2枚=12 です。
メータは2個あるので総数は 24 です。

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LED 化回路は以下です。
LED は DC 駆動する必要があるので、[電源基板] の電解コンデンサの両端から電源をとります。

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左の写真はオリジナルの [ダイヤル照明ユニット] です。
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右の写真のように E10/T10 6.3V/0.25A フィラメントランプを6個使っています。

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[ダイヤル照明ユニット] からフィラメントランプを除去し、代わりに [テープ LED 13単位]×2枚 を貼り付けました。

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左の写真はオリジナルのメータ照明です。
メータあたり E10/T10 6.3V/0.25A フィラメントランプを1個使っています。
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LED 化にはフィラメントランプホルダや金具が邪魔になるので除去しました。
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右の写真のように [COB テープ LED 6単位]×2枚 を経年変化しない260℃耐熱ポリイミドテープで貼り付けました。

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330Ωと680Ωの電流制限抵抗は [電源基板] の裏側に下の写真のように取り付けています。
抵抗値を増減すれば明るさが変えられます。

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[STEREO] ランプの LED 化
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[6.3V/40mA フィラメントランプ] を [砲弾型 5mm ウォームホワイト色 35000mcd] にリプレースします。
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左の回路の上側はオリジナルの [STEREO] ランプ回路で、MPX よりのランプ点灯電圧は 点灯/消灯=12V/5V と変化します。
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これをこのまま LED に使うと消灯時にも光ってしまいます。
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そこで電圧打ち消しのためのツェナーダイオードを入れて、左の回路の下側のようにしました。
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右の写真は LED 化後の配線の様子です。
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使用した LED の照射角は15度しかなく、それに対して [STEREO] 枠が横に長いです。
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そこで、照射が均一になるよう、LED に光拡散キャップを被せました。

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LED 化が完成
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LED を100個以上使ったので、下の写真のようにムラのない綺麗な照明が実現できました。
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消費電力もフィラメントランプの時は照明だけで 13W でしたが、LED 化後は 0.5W 以下です。
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照明による発熱はほぼゼロになるので筐体が熱くなるのを防げ、信頼性が上がります。

リペア (その2):[TUNING] ノブを回すと「キュルキュル」という異音が出る
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原因
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[TUNING] 軸受けのグリスが経年変化で蒸発してしまったためです。
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修理
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左の写真のように [TUNING] 軸受機構を取り出し分解しました。
軸受のグリスは消滅していました。
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軸受をグリスアップしてから、右の写真のように組み立てました。
そして [TUNING] 軸受機構を元の位置に戻しました。

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修理後の動作チェック
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[TUNING] ノブが軽く回るようになり、異音が出ないことを確認しました。
リペア (その3):レバースイッチ×3個のスイッチトップが欠品している
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概要
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到着時にレバースイッチトップが外されて、小さい袋に入れられて添付されていました。
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なぜか? 調べてみるとプラスチック製のスイッチトップの根元が割れていて実装できないのです。
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修理
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オリジナルのスイッチトップは黒いプラスチック製で高級感がありません。
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手持ちのレバースイッチトップで高級感・ノブとマッチするデザインを基準に代替品を探してみました。
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結果、下の写真の Pioneer TX-8900 のスイッチトップが相性ピッタリでした。
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ノブの仕上げと同じ横方向のアルミヘアライン仕上げで輝き状態も同じです。
高級感もあります。

リペア (その4):ステレオセパレーションがゼロ
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調査と原因
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[STEREO] ランプが点灯するのにステレオ感がありません。
測定器を使ってセパレーションを測定してみたらゼロでした。
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「大きく調整がズレた」「MPX 基板のどこかが故障」のいずれかでしょう。
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まずは「フロントエンド~IF~検波」まで調整してみました。
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すると、T メータのセンタと IF 周波数が大きくズレていました。
ステレオセパレーションが悪い原因です。
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IF 周波数が 10.7MHz になるポイントに全てを合わせ直しました。
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[T メータ] のセンタと [S メータ] のピークと合うようになり、調整は正しいです。
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ところが、MUTING = ON で同調すると [T メータ] のセンタでは音が出ず、[T メータ] を僅かに左にすると音が出るのです。
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MUTING のロジックがおかしいです。
MUTING の調査は厄介です。
なぜなら、ST-9700 の回路図が公開されていないからです。
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MUTING 回路はロジック量が多く、回路図がないと論理的な検討・考察は無理です。
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やむを得ず、[MPX 基板] から MUTING ロジック部分を解析して回路図化しました。
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[MPX 基板] の MUTING ロジック部分の回路図は右です。
クリックすると pdf で大きく表示できます。
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これで、やっと論理的な修理ができます。
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なお、ST-9700 のロジック GND は -12V となっているようで、一般とは違うようです。
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原因らしきものが判明しました。
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(7)コネクタの 4pin に、[IF(2) 基板] から SL 信号が入りますが、このレベルが低いのです。
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SL 信号はほぼ S メータと同じで、MUTING 制御信号 (レベル) です。
これがオカシイのが原因です。
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修理
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[IF(2) 基板] と取り出してチェックすると、SL 信号ラインがハンダクラックしていました。
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ハンダクラック部分を補修ハンダ付けしました。
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修理後の動作チェック
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[T メータ] センタで [STEREO] ランプが点灯してステレオ感のある音が出ることを確認しました。
リペア (その5):[電源基板] の電解コンデンサの一部を交換
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概要
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ほぼ修理完了近くになって、動作確認を兼ねて使っていると、電源電圧が安定していないような感じがありました。
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本機は半波倍電圧整流回路となっており、この部分の電解コンデンサが劣化しやすいです。
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なぜなら、半波ということで充電・放電が激しく、かつ倍電圧回路で更に消耗するからです。
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この部分の電解コンデンサをサクッと新品にリプレースしましょう。
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修理
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下の部品交換リストのようにリプレースしました。
同時に [容量アップ] [高耐圧化] [高耐熱化] を図っています。
| 基板 |
部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| 電源基板 |
C803 |
1000uF/16V (85℃) |
2200uF/35V (105℃) |
容量アップ、高耐圧化、高耐熱化 |
| C804 |
1000uF/16V (85℃) |
2200uF/35V (105℃) |
| C805 |
1000uF/35V (85℃) |
2200uF/35V (105℃) |
容量アップ、高耐熱化 |
| C806 |
1000uF/35V (85℃) |
2200uF/35V (105℃) |
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左の写真は交換前で、赤枠で囲んだ4個の電解コンデンサが交換対象です。
右の写真は交換後で、茶色の電解コンデンサです。
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容量などをアップしたのにサイズは小さくなりました。
半世紀の技術の進化です。

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修理後の動作チェック
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リプレース効果てきめんです。
動作は安定し、音質もぐっと向上しました。
リペア (その6):その他
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[output level] [selector] ノブが逆に付いている
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[output level] [selector] ノブをオリジナルと同じなるように入れ換えました。
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[IC301] [IC302] SN76115N と [IC401] uPC33C のリードにマイグレーションが発生している
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これらの IC の足が真っ黒になっています。
マイグレーションが発生しているのです。
金属カビのようなものです。
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現状はまだ障害に至っていませんが時間の問題で、いずれマイグレーションがリード間を短絡して故障します。
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金属ブラシを使ってマイグレーションを除去してから、リードにネイルベースコートを塗布しました。
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マイグレーションは空気中の水分とリードにかかる電圧で成長します。
コーティングで空気との接触を遮断したのです。
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[S メータ] のピークと [T メータ] のセンタが合わない
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再調整にて直りました。
なお、[S メータ] のピークと [T メータ] のセンタが僅かに合わない程度は問題ありません。
再調整
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電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
| VP |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 |
電源基板 (9)コネクタ |
1pin |
-11V |
-11.2V |
〇 |
|
| 2pin |
+12V |
+11.8V |
〇 |
|
| 3pin |
+21V |
+21.8V |
〇 |
|
| 6pin |
-12V |
-12.0V |
〇 |
VR601 で調整 |
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FM 受信部の調整
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調整結果
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状態からみて、製造後、半世紀以上メンテナンスされていないようで、あちこちズレまくっていました。
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フロントエンドのトラッキング調整で感度が大きく上がりました。
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調整前にゼロだったステレオセパレーション性能が蘇り、ステレオ感のある良い音になりました。
| 項目 |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
stereo |
47 |
47 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
mono |
0.22 |
% |
| stereo |
0.22 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク (可変出力) |
stereo |
-64 |
-64 |
dB |
| パイロット信号キャリアリーク (固定出力) |
stereo |
-90 |
-90 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
mono |
0 |
+0.01 |
dB |
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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この頃の超高級機は
来たる FM 多局化に備えて高選択度!
がセールスポイントでした。
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[多連バリコン] [高選択度 IF] をユーザに訴求したのですが、半世紀を過ぎた現在でも放送局がスカスカです。
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この状況では [4連バリコン] [WIDE/NARROW 切換できる IF] で十分です。
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高選択度にしたトレードオフで、高調波歪率やステレオセパレーションが悪化します。
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それでもメーカは(デメリットをひた隠しにして)高選択度に拘ったのです。
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FM バンド内に100局以上放送局ができたら今までのチューナは使えなくなりますよ!
早く準備しましょう。
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本機もこの傾向があります。
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オーディオ機器というより通信機として優秀です。
お金がかかっています。
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デザイン
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もはやチューナという名の通信機です。
王者の風格!!!
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大きさと重さも超級で、
巨大で重い!!!
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450(W)×173(H)×373(D)mm, 12.1kg とアンプを超えます。
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大きいのですが、横幅が 450mm とやや短いので設置が楽です。
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フロントパネルのアルミ材の一番厚い箇所は 10mm もあります。
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周波数スケールの前面ガラスは厚み 5mm もあります。
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3つのノブは全てアルミ無垢材で質感があります。
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スイッチやノブの操作感は正確な感じがして、まさに通信機感覚です。
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リアパネルのアンテナ端子は F 端子なので、妨害雑音電波の混入を防げます。
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RCA 端子は金メッキではないので、使わない端子にはダストキャップを装着しましょう。
サビるのを防止できます。
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感度や音質
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超高級機ですから、
流石に良い
です。
安定度とか音質とかスペック表現できない部分が超優れています。
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感度が良く、高解像度でカチッとした超高音質です。
高域も低域もよく出ています。
S/N も良いです。
性能は超一流です。
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高解像度の音なのにハーモニー再現力もあります。
音に余裕があると言うか、この辺りが一般機との差です。