TRIO KT-5500

TRIO KT-5500 が到着

2025年7月18日、東京都町田市の Y さんから TRIO KT-5500 の修理依頼品が到着しました。

価格は安いのですが、FM 専用機でフロントエンドの構成が素晴らしい実力機です。

ただし、大問題があります。 構造的に基板上の部品交換が難しいのです。 故障したら修理できません。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 外観

  3. 電源 ON してチェック

  4. カバーを開けてチェック



カバーを開けてみました

  1. 全体の作りはかなり良いです。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. FM フロントエンド

  3. FM IF 部

  4. FM 検波部

  5. FM MPX 部



リペア (その1):バリコン軸の接触回復

  1. 概要

  2. 回復作業

    1. エレクトロニッククリーナ を軸受けに噴射し何度もバリコン羽を動かすと緑青サビが湧き出てきます。

    2. 湧き出た緑青サビを 爪楊枝/歯間ブラシ/歯間糸楊枝 を使って丹念に落とします。

    3. [1] と [2] を何度も何度も繰り返します。

    4. 接点復活スプレー を軸受けに少量吹きかけ馴染ませます。

    5. 仕上げに、軸受けにリチウムグリスを塗布して防錆処置します。

  3. 作業結果



リペア (その2):その他

  1. 周波数ダイヤルの内側にやや汚れとゴミが見える



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 電源電圧チェッックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 判定
    R81(右) +14V +13.5V
    R79(左) -14V -14.8V

  2. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 KT-5500 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - muting : off
    mode : auto
    - -  
    2 OFF - VR2 T メータ = センタ OFFSET 調整
    3 88MHz 90dB
    mono 1kHz
    指針を88MHz 付近で高調波歪最小位置に合わせる 同調点(仮)調整
    4 指針は手順3から
    動かさない
    T6 (下) T メータ = センタ
    5 指針を 88MHz に
    合わせる
    [フロントエンド]
    OSC トリマ
    T メータ = センタ OSC トラッキング調整
    指針をダイヤルに合わせるのが目的
    6 78MHz 40dB
    無変調
    78MHz 受信 [フロントエンド]
    T1
    T2
    T3
    T4
    S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    7 88MHz 40dB
    無変調
    88MHz 受信 [フロントエンド]
    RF トリマ×4
    8 手順6~7を数回繰り返す
    9 83MHz 40dB
    無変調
    83MHz 受信 [フロントエンド]
    T5
    S メータ = 最大 IF 調整
    10 83MHz 90dB
    mono 1kHz
    T6 (下) T メータ = センタ QR 検波調整
    11 T6 (上) オーディオ出力 = 高調波歪最小
    12 83MHz 90dB
    無変調
    VR5 TP3 周波数 = 76kHz±120Hz
    周波数カウンタで測定
    VCO 調整
    13 83MHz 90dB
    stereo 1kHz L-R
    T5 オーディオ出力 = 高調波歪最小 stereo IF 歪補正
    14 83MHz 90dB
    stereo 1kHz R/L
    VR4 オーディオ出力 (L/R) = 最小 セパレーション調整
    15 83MHz 60dB
    無変調
    VR1 S メータ = 5 S メータ調整

  3. 調整結果



使ってみました

  1. メンテンスが終わって

  2. デザイン

  3. 感度や音質



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様