YAMAHA T-7

YAMAHA T-7 が到着

2025年6月10日、茨城県牛久市の W さんより YAMAHA T-7 の修理依頼品が到着しました。

本機はバリコン式でありながら受信周波数を FM 5局+AM 5局 プリセットできます。



程度&動作チェック

  1. 修理依頼者のコメント

  2. 実は T-7 の修理をしないことをお奨めしました

  3. 外観チェック

  4. 電源 ON してチェック

  5. カバーを開けてチェック



カバーを開けてみました

  1. 基板の作りは良く、部品が綺麗に整然と並んでいます。 写真をクリックすると拡大写真を表示できます。

  2. FM フロントエンド

  3. FM IF 部

  4. FM 検波部

  5. FM MPX 部

  6. AM 部

  7. プリセットメモリのバックアップ



プリセットチューニングの仕組

  1. 下は T-9 のブロック図ですが T-7 も同様です。



  2. バリコン回転角をどのようにして検出しているのか?

    1. 秘密は AM OSC 回路にあります。

      • T-7 は FM/AM 兼用機のため、当たり前ですが AM OSC 回路があります。

      • この AM OSC 回路は FM 受信中にも発振したままです。

    2. AM OSC 出力を TC4520 で64分周したパルスに変換します。

    3. [2] の信号を微分してから単安定マルチを通してパルス列を作成します。

    4. [3] のパルス列を積分して電圧に変換します。

    5. [2]~[4] の動作は F-V 変換 (周波数→電圧 変換)そのものです。 この電圧が「バリコン回転角の絶対値」です。

  3. プリセット記憶

  4. プリセットチューニングの動作

    1. 選局時に希望する局のキーを押すと、記憶した 10bit デジタル値を呼び出し、回転角に対応した電圧に変換します。

    2. サーボモータで回転させ、[1] の電圧と F-V 変換値 の差がゼロになったら停止します。

    3. 今度はサーボモータ制御信号を IF 回路からの中心周波数に対応したセンターチューニング信号に切り換えます。

    4. そして再度サーボモータでバリコンを補正回転して同調点になったら停止します。

    5. ミューティングを解除し、OTS 機能が正しい同調点を維持します。

  5. T-7 調整の注意事項



リペア (その1):Ni-Cd バッテリが液漏れして基板が腐食している

  1. 概要

  2. 修理

  3. 修理後の動作確認

  4. コメント



リペア (その2):ハンダクラック予防補修

  1. 概要

  2. 修理 (予防補修)



リペア (その3):音が出なくなった

  1. 概要

  2. 調査と修理 (その1)

  3. 調査と修理 (その2)

  4. とりあえず電源回路限定でハンダ付け部を補修



リペア (その4):その他

  1. RCA 端子のサビ落とし

  2. [RX MODE] が LOCAL/DX で S メータの振れが異なる



調整

写真の FM/AM 標準信号発生器 Panasonic VP-8175A (以下 SSG)、 FM Stereo 信号発生器 MEGURO MSG-2170、 周波数カウンタ ADVANTEST TR5822 を使って調整します。 10年も経つとコイルやトリマはズレます。

  

  1. 調整ポイント



  2. 電圧チェックポイント (VP)

    VP 標準値 実測値 判定 備考
    +12 +12.5±1V +12.3V FM/AM RF IF / MPX / オーディオ
    -12 -13.5±1V -13.7V MPX / オーディオ
    +9 +9.5±1V +9.14V モータドライブコントロール
    9B +10.5±1V +10.1V メモリバックアップ
    +7 +7.0±1V +6.82V コントロール / MPX
    -7 -7.0±1V -7.88V

  3. FM 受信部の調整

    手順 SSG出力 T-7 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - FUNCTION : FM
    RX MODE : AUTO DX
    MUTE/OTS : OFF
    BLEND : OFF
    REC CAL : OFF
    - -  
    2 10.7MHz 90dB
    無変調
    SSG 出力を
    CF101-in に注入
    T103 IC111-20pin = 0V 同調点調整
    3 83MHz 90dB
    無変調
    ダイヤル指針を
    83MHz に合わせる
    フロントエンド
    OSC トリマ
    IC111-20pin = 0V OSC トラッキング調整
    指針と周波数ダイヤルを
    合わせるのが目的
    4 83MHz 30dB
    無変調
    83MHz 受信 フロントエンド
    RF トリマ×3
    IC102-13pin 電圧 = 最大 RF トラッキング調整
    5 83MHz 90dB
    mono 1kHz
    83MHz 受信
    MUTE/OTS : ON
    TC101 オーディオ出力 = 高調波歪最小 IF 歪補正 (mono)
    6 83MHz 90dB
    無変調
    VR108 IC113 1-14pin 間に2.2MΩ抵抗を接続
    R226(左) = 19kHz±30Hz
    周波数カウンタで測定
    VCO 調整
    7 83MHz 90dB
    stereo 1kHz L-R
    T112 オーディオ出力 = 最大 SUB 調整
    8 83MHz 90dB
    stereo 1kHz L
    VR101
    VR102
    VR103
    T102
    オーディオ出力 = 高調波歪最小 IF 歪補正 (stereo)
    9 83MHz 90dB
    stereo 1kHz L+R
    T113
    VR10
    オーディオ出力 = 19kHz 成分最小 PILOT キャンセル調整
    10 83MHz 90dB
    stereo 1kHz R
    VR106 オーディオ出力 (L) = 最小 セパレーション調整
    11 83MHz 90dB
    stereo 1kHz L
    VR105 オーディオ出力 (R) = 最小
    12 83MHz 100dB
    無変調
    VR112 S メータ = フル S メータ調整
    13 83MHz 0dB
    無変調
    VR111 S メータ = ゼロ

  4. AM 受信部の調整

    手順 SSG出力 T-7 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 - FUNCTION : AM
    REC CAL : OFF
    - -  
    2 600kHz 60dB
    無変調
    600kHz 受信 OSC コイル S メータ = 最大 OSC トラッキング調整
    3 1400kHz 60dB
    無変調
    1400kHz 受信 OSC トリマ
    4 手順2~3を数回繰り返す
    5 600kHz 40dB
    無変調
    600kHz 受信 RF コイル S メータ = 最大 RF トラッキング調整
    6 1400kHz 40dB
    無変調
    1400kHz 受信 RF トリマ
    7 手順5~6を数回繰り返す
    8 999kHz 40dB
    無変調
    999kHz 受信 IFT S メータ = 最大 IF 調整

  5. プリセットチューニングシステムの調整

    手順 T-7 の設定 調整箇所 TP 及び調整値 備考
    1 FUNCTION : FM - -  
    2 指針を 91MHz に合わせる VR113 J304~J313 間電圧 = 0V プリセット上限位置設定
    3 指針を 75MHz に合わせる VR114 R301(右)~J330 間電圧 = 0V プリセット下限位置設定

  6. 調整結果



使ってみました

  1. 修理&再調整が終わって

  2. YAMAHA のデザインはなかなか良い

  3. プリセットチューニングシステム

  4. 感度と音質



仕様ほか

  1. ドキュメント

  2. 仕様

    FM 受信部
    受信周波数範囲 76.0~90.0MHz
    実用感度 (IHF MONO 75Ω) 0.85uV (9.8dBf)
    S/N 比 50dB 感度 (75Ω) MONO (DX) : 1.6uV (15.3dBf)
    STEREO (DX, BLEND ON) : 10uV (31.2dBf)
    STEREO (DX, BLEND OFF) : 19uV (36.8dBf)
    イメージ妨害比 100dB
    IF 妨害比 100dB
    スプリアス妨害比 100dB
    AM 抑圧比 67dB
    実効選択度 55dB (LOCAL ±400kHz)
    90dB (DX ±400kHz)
    18dB (DX ±200kHz)
    S/N 比 MONO : 90dB
    STEREO : 85dB
    全高調波歪率 MONO (LOCAL) : 0.03% (100Hz), 0.04% (1kHz), 0.07% (6kHz), 0.05% (10kHz)
    MONO (DX) : 0.1% (100Hz), 0.3% (1kHz), 0.7% (6kHz), 0.1% (10kHz)
    STEREO (LOCAL) : 0.04% (100Hz), 0.04% (1kHz), 0.07% (6kHz), 0.08% (10kHz), 0.2% (15kHz)
    STEREO (DX) : 0.5% (100Hz), 0.5% (1kHz), 0.8% (6kHz), 1.5% (10kHz), 3% (15kHz)
    IM(混変調)歪率 MONO (LOCAL) : 0.04%
    MONO (DX) : 0.5%
    STEREO (LOCAL) : 0.04%
    STEREO (DX) : 1.0%
    ステレオセパレーション LOCAL : 60dB (DC~1kHz), 52dB (2kHz~10kHz)
    DX : 30dB (DC~1kHz), 25dB (2kHz~10kHz)
    周波数特性 50Hz~10kHz ±0.3dB
    20Hz~15kHz +0.3 -0.5dB
    10Hz~18kHz +0.5 -3.0dB
    サブキャリア抑圧比 70dB
    AUTO DX 動作レベル (75Ω) 25uV (39.2dBf)
    ミューティングレベル (75Ω) 2.5uV (19.2dB)
    アンテナインピーダンス 75Ω不平衡型 (PAL)
    300Ω平衡型
    AM 受信部
    受信周波数範囲 525~1,605kHz
    実用感度 (IHF) 15uV
    選択度 (1,000kHz±10kHz) DX : 27dB
    LOCAL : 17dB
    S/N 比 52dB
    イメージ妨害比 (1,000kHz) 50dB
    スプリアス妨害比 (1,000kHz) 50dB
    全高調波歪率 0.3%
    総合
    可変端子
    出力レベル/インピーダンス
    FM (100% 変調, 1kHz) : 1V/600Ω (VR max), 500mV/3.3kΩ (VR center)
    AM (30% 変調, 1kHz) : 300mV/600Ω (VR max), 150mV/3.3kΩ (VR center)
    REC CAL (333Hz) : 500mV/600Ω (VR max), 250mV/3.3kΩ (VR center)
    固定端子
    出力レベル/インピーダンス
    FM (100% 変調, 1kHz) : 1V/600Ω
    AM (30% 変調, 1kHz) : 300mV/600Ω
    REC CAL (333Hz) : 500mV/600Ω
    電源電圧 AC100V, 50/60Hz
    定格消費電力 14W
    外形寸法 435(W)×95(H)×335(D)mm
    重量 5.2kg
    その他
    発売時期 1980年
    定価 69,800円