KENWOOD KT-1100D (8号機) が到着
2025年11月17日、千葉県松戸市の K さんより
KENWOOD KT-1100D
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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外観
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製造シリアル番号は [10600259] です。
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電源コードの製造マーキングより [1990年製造品] とわかりました。
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[純正 AM ループアンテナ] が添付されていました。
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リアパネルにある [AM アンテナ端子] が写真のように陥没していました。
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汚れがありますが致命的な損傷はなく、まあまあの状態です。
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リアパネルの端子類はピカピカで極めて良好です。
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電源 ON して動作チェック
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電源は入り、[TUNING] ノブや操作ボタンは正常に反応します。
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ディスプレイの輝度は新品同様です。
[REC CAL] ボタンでテスト音が出ます。
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FM 受信
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S メータが大きく振れ、良好に受信できて [STEREO] 表示も出ます。
音も問題ないです。
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オートチューニングすると正しい放送周波数または -0.1MHz ズレた周波数で止まります。
周波数ズレしかかっています。
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軽く現状のオーディオ性能を測定してみました。
この機種にしてはステレオセパレーションが低いです。
| 項目 |
FM IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
36 |
37 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.026 |
% |
| stereo |
0.026 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-72 |
-65 |
dB |
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AM 受信
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添付された [純正 AM ループアンテナ] を接続してチェックしました。
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感度は良好で特に問題なく受信できます。
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カバーを開けてチェック
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基板は綺麗で、目視で明らかに劣化とわかる部品はないです。
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メモリバックアップ用電気二重層コンデンサ [C178] はそろそろ寿命です。
交換したほうがよいです。
リペア (その1): [AM アンテナ端子] が陥没している
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陥没の原因は端子台を左右で留めるナイロンラッチの破損と思っていたが・・・
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カバーを開けて端子台を観察すると、端子台のプラスチック枠が割れて破損していました。
(左の写真)
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同じ端子台の手持ちはないので交換できず、さて、どうするか・・・
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検討
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プラスチック枠は割れているとは言え、かなり厚くて剛性がありそうです。
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プラスチック枠を強力に留められれば実用的に使えるようになるのでは? ・・・ やってみよう。
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修理
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端子台を左右で留める (オリジナルの) ナイロンラッチで留める方法は強度的に持ちそうにありません。
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そこで平ワッシャを内面側に入れて M3 ネジでシッカリ留めました。
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結果、普通に使うには十分な強度で端子台を留めることができました。
(交換部品がないので) これで一件落着とします。

リペア (その2):[電気二重層コンデンサ] の交換
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電気二重層コンデンサ交換
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電気二重層コンデンサでプリセットメモリの記憶をバックアップします。
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電気二重層コンデンサは経年劣化するので、最新の容量の大きいものと交換します。
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左の写真は交換前で、橙色の部品が 18mF/5.5V です。
かなり古いタイプです。
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右の写真は交換後で、黒色の部品が 0.22F/5.5V です。
容量は大きいのに、劇的に小さくなりました。

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電気二重層コンデンサは 18mF → 0.22F と12倍の容量になりました
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取扱説明書によるとメモリバックアップは1週間と書かれています。
(元の 18mF の時です。)
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容量が12倍になったので、計算上は12週間 (3ヶ月) バックアップできるはずですが ・・・
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実際には、電気二重層コンデンサの自己放電もあるので1ヶ月くらいでしょう。
リペア (その3):ハンダクラックの予防補修
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ハンダクラックしやすい箇所
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左の写真はリアパネルにある [RCA 端子] です。
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ここはリアパネルと基板の2方向から常にストレスが掛かっているのでハンダクラックしやすいです。
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右の写真は電源部にある [放熱器が付けられたパワートランジスタ] です。
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ここは放熱器と基板の2方向から常にストレスが掛かっているのでハンダクラックしやすいです。

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予防補修
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基板の裏側で上記のハンダ付け部の古いハンダを除去してから新たに補修ハンダ付けしました。
リペア (その4):その他
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FM で周波数ズレしかかっている
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天板のクリーニング
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取り外して中性洗剤でジャブジャブ水洗いして少しマシになりました。
再調整
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電源電圧チェック (VP)
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実測値は以下のように良好でした。
| VP |
表示電圧 |
標準電圧 |
実測電圧 |
判定 |
| Q40-E |
+15V |
+14.9V |
+14.7V |
〇 |
| Q42-E |
-14V |
-13.5V |
-13.0V |
〇 |
| IC14-OUT |
+5V |
+5.6V |
+5.60V |
〇 |
| Q46-E |
+28V |
+28V |
+28.3V |
〇 |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信
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同調点調整が限界までズレていました。
再調整で規定内に入りました。
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フロントエンドでトラッキングズレがありました。
再調整で感度が上がりました。
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PLL 検波で大きなズレがありました。
再調整で規定内に入りました。
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再調整でステレオセパレーションと高調波歪率が大きく向上し、ハッとする素晴らしい音になりました。
| 項目 |
FM IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
70 |
70 |
dB |
| NARROW |
70 |
70 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.0084 |
% |
| stereo |
0.012 |
% |
| NARROW |
mono |
0.012 |
% |
| stereo |
0.024 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-80 |
-77 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0 |
+0.01 |
dB |
| FM REC CAL 信号 |
WIDE |
mono |
398Hz |
Hz |
| -6.5 |
dB |
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AM 受信
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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性能面では特に大きな問題はなく、通常の経年変化による調整ズレがありましたが、全て新品時の性能に戻せました。
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再調整後のステレオセパレーションや高調波歪率はこの機種のトップクラスにでき、当たりの個体でした。
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AM アンテナ端子台は破損したままネジ留めに変更して強度を持たせただけなので、やさしく扱ってください。
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FM の音質はシャッキとした高音域が特長
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ハッとするような素晴らしくクリアな音
です。
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ソースの持つ質感や雰囲気をうまく表現します。
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AM の音質も良い
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でも、このような高級チューナで AM 聴く人いないような ・・・