KENWOOD KT-880F (5号機) が到着
2026年3月7日、静岡県浜松市の N さんより
KENWOOD KT-880F
の修理依頼品が到着しました。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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KENWOOD KT-880F の調整をお願いします。
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同調点調整はできましたが、それ以降は私には無理なので、よろしくお願いします。
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調整だけでは治らない場合は修理をお願いいたします。
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気になっている点は以下です。
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ステレオ感が弱いです。
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室内アンテナ (TDK TA-101) を調整して FM 電波受信感度が一番高い位置でノイズが多くなります。
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その前後はノイズが少ないのでそこで聞いています。
(室内アンテナの問題かもしれませんが)
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外観のチェック
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製造シリアル番号は [69K10632] で、電源コードの製造マーキングより [1985年製造品] とわかりました。
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[純正 AM ループアンテナ] は添付されていませんでした。
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天板に汚れなどがありますが、それ以外はとても綺麗な逸品です。
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リアパネルの端子類にも輝きが残っています。
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電源 ON してチェック
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正常に電源が入りディスプレイは新品同様な明るさです。
操作ボタンは正常に反応します。
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FM 受信
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特に問題なく感度良好で受信できたので、現状の性能値を測定しました。
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ステレオセパレーションが落ち込んでいます。
これ以外は問題ない数値です。
| 項目 |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
stereo |
25 |
24 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
mono |
0.053 |
% |
| stereo |
0.053 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
stereo |
-76 |
-74 |
dB |
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] の添付がなかったので、右の写真の筆者が標準にしているループアンテナを接続してチェックしました。
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SONY ST-SA5ES などの大型ループアンテナです。
中古市場によく出ています。
横幅 28cm、高さ 12cm くらいのサイズです。
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S メータは元気に振れるのですが、高い周波数で混信するので相性はイマイチです。
それでも受信はできるので AM 受信部は問題なさそうです。
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カバーを開けてチェック
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目視でわかる部品の劣化は見当たらず、状態は良いです。
リペア
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ステレオ感が弱い ・・・ 修理依頼者より
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修理依頼者の要求は再調整だけだったので、これ以外は実施していません。
各部の点検はしていないので再調整以外の保証はありません。
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落ち込んでいたステレオセパレーションは最調整で大きく上がりました。
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室内アンテナを調整して FM 電波受信感度が一番高い位置でノイズが多くなる ・・・ 修理依頼者より
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筆者には修理依頼者の電波&ノイズ環境も室内アンテナもないので、これは調査しかねます。
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少なくとも、再調整後は KT-880F としては何らの問題もありませんでした。
再調整
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電源電圧チェッック (VP)
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実測値は以下のように正常でした
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
備考 |
| 電源基板 CN1-2pin |
+5.6V |
+5.61V |
〇 |
コントローラ |
| 電源基板 CN1-3pin |
+28V |
+28.6V |
〇 |
VT 電源 |
| 電源基板 CN1-5pin |
+14V |
+14.4V |
〇 |
チューナ、OP アンプ |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信
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OSC トラッキング調整が少しズレていました。
再調整で規定内に入りました。
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RF トラッキング調整で感度が少し上がりました。
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PLL 検波で大きいズレがありました。
再調整で規定内に入りました。
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MPX VCO で大きいズレがありました。
再調整で規定内に入りました。
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ステレオセパレーションは大きく上がり、音の解像度も大きく向上しました。
| 項目 |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
stereo |
70 |
64 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
mono |
0.031 |
% |
| stereo |
0.031 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
stereo |
-82 |
-76 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 |
mono |
0 |
-0.05 |
dB |
| REC CAL |
mono |
398 |
Hz |
| -5.3 |
dB |
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AM 受信
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[純正 AM ループアンテナ] の添付がなかったので、IF 調整だけ実施しました。
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現在の AM 放送は2028年でほぼ消滅するし、本機のような音の良いチューナで AM を聴く人はいないだろうし。
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FM 周波数コンバータ
を使えば KT-880F でもワイド FM を受信できます。
FM で AM 放送を聴くほうが正解です。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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本機は到着時より FM/AM ともほぼ問題なく受信できていました。
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このため、再調整だけして新品時の性能に蘇りました。
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デザイン
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筐体の高さが低いのでスリム感があります。
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プリセットメモリは FM/AM ランダムに16局分あり十分です。
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FM アンテナが簡易 F 端子なので妨害電波の混入を防げます。
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性能&音質
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FM の感度と妨害電波排除能力は素晴らしく良いです。
FM フロントエンドの性能が余程良いのでしょう。
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FM の音質は非常に良いです。
歪感が少なく、輪郭がハッキリで、スッキリした音の出かたです。
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KT-880F は KT-1010F の下位機種ですが、兄貴に負けない性能があります。
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AM の感度は良く音もマアマアです。
このチューナで AM を聴く人はほとんどいないと思われ、オマケみたいなものです。