SONY ST-JX5 (2号機) をゲット!
2026年1月29日、大阪市平野区の A さんより
SONY ST-JX5
を研究用に寄贈いただきました。
定価53,000円
です。
名機
SONY ST-J75
より後に開発された製品のため、使用 IC が新しく、性能もそれぼど変わらないです。
間違いなく
SONY ST-J55
よりは性能が上です。
程度&動作チェック
-
修理依頼者のコメント
-
SONY ST-JX5 の故障品を3台送ります。
どれか1台の修理をお願いします。
残った2台は寄贈します。
-
外観のチェック
-
届いたダンボール箱を開梱して2番目に出てきたのが本機でした。
これを寄贈品扱いにしました。
-
製造シリアル番号は [207601] で、電源コードの製造マーキングより [1981年製造品] とわかりました。
-
フロントパネルは綺麗ですが、中央にある操作ボタンのプラスチックが黄ばんでいます。
これはどうしようもなく放置です。
-
天板は全体的には綺麗ですが、線スレが2箇所あります。
これはどうしようもなく放置です。
-
リアパネルや底板に汚れはありますが特に問題ないです。
RCA 端子には少し白いサビが出ています。
-
電源 ON してチェック
-
電源が入り、FLD 表示器の輝度は明るく新品同様で、各ボタン操作も正常です。
-
[CAL TONE] ボタンで正常にテスト音が出ます。
-
FM 受信
-
S メータがフルに触れ、[STEREO] ランプが点灯して音が出ました。
-
AM 受信
-
カバーを開けてチェック
-
内部は綺麗で、基板にも明らかに劣化とわかる部品は見当たりません。
-
FM MPX 以降のオーディオ信号通過の電解コンデンサには ELNA のオーディオクラス品が使われています。
さすがです。
リペア:清掃など
-
フロントパネルの清掃
-
フロントパネルにある透明板の内外の汚れが気になります。
-
フロントパネルを取り外して、プロ用のクリーナ液の
リンレイ newプロインパクト中性
でクリーニングしました。
-
各種表示が美しくなりました。
透明板の内側にスス状のゴミが綺麗に除去できたからです。
-
その他の部分に何やら透明塗料のような付着がありました。
ここは無水アルコールで清掃しました。
-
天板の清掃
-
RCA 端子のサビ取り
-
RCA 端子台を一旦取り外し、
ピカール液
でマイクロ研磨しました。
ピカピカになって新品に近くなりました。
再調整
-
電圧チェック (VP)
-
実測値は以下のように良好でした。
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
備考 |
| JW68 (Q501-E) |
+15.5V |
+15.6V |
〇 |
アナログ系 |
| JW151 (Q502-E) |
+5.2V |
+5.05V |
〇 |
デジタル系 |
| JW152 (Q503-E) |
-5.2V |
-5.08V |
〇 |
アナログ系 |
| JW69 (Q504-E) |
+30.5V |
+31.5V |
〇 |
VT 電圧の元電源 |
| JW49 (Q505-E) |
-30.5V |
-30.3V |
〇 |
FLD |
-
FM/AM 受信部の調整
-
調整結果
-
FM 受信
-
FM 同調点電圧が 0.5V と大きく調整ズレしていました。
再調整で規定内に入りました。
-
FM フロントエンドのトラッキング調整で少し感度が上がりました。
-
再調整でステレオセパレーションが上がり解像度の良い音になりました。
-
高調波歪率は IF Band の Wide/Narrow 切換のない高選択度チューナとしては優秀な性能です。
| 項目 |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション |
stereo |
53 |
57 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
mono |
0.088 |
% |
| stereo |
0.088 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
stereo |
-55 |
-54 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
mono |
0 |
+0.02 |
dB |
| CAL TONE |
mono |
375 |
Hz |
| -6.0 |
dB |
-
AM 受信
-
調整ズレはほぼありませんでした。
1400kHz 付近の感度は再調整で少し上がりました。
使ってみました
-
修理&再調整が終わって
-
ST-JX5 を手掛けるのは2台目なのでスムーズに作業できました。
-
修理というより調整だけで直りました。
こういう意味では状態は良かったです。
-
デザイン
-
ともかく高さが低いです。
55mm しかなく薄い感があります。
-
手に持つとズッシリ感があります。
中身はギッシリ。
-
フロントパネルのデザインは所謂 SONY デザインで非常に良好です。
-
フロントパネル中央にある操作ボタンがプラスチックで、ここがやや安っぽいです。
-
また、この操作ボタンは電卓のキーのようなタッチで高級感はないです。
-
[POWER] と [1]~[8] のプリセットボタンのトップはアルミ製で高級感あります。
-
FLD 表示で周波数表示などがクッキリです。
この頃の FLD は寿命の長いものが使われています。
-
FM アンテナ端子はマトモな F 端子です。
妨害電波の混入を回避できます。
-
AM アンテナはバーアンテナです。
方向などが若干設定できます。
-
[SENS] ボタン
-
ST-JX5 には [SENS] という一般のチューナにはない、見慣れないボタンがあります。
-
カタログの説明を読むと、いかにも感度アップして受信するモードと勘違いする記述になっています。
-
実際には、感度がアップする訳ではなく、音質を犠牲にする代わりに雑音を減らす機能です。
-
「S/N が上がる」を「感度が上がる」かのように巧みに説明しているだけです。
-
ですから、この機能は使わないほうが吉です。
-
FM 受信時に ON にすると、表示器に [DISTANT] という表示が出て音がハイブレンドされます。
-
ハイブレンドすると高域の雑音が減りますが、ステレオセパレーションは悪くなります。
-
放送を良好に受信できている場合は [SENS] = ON にすべきではありません。
セパレーションが悪くなります。
-
AM 受信時に ON にすると、表示器に [DISTANT] という表示が出て音がハイカットされます。
-
ハイカットすると高域の雑音が減りますが、高域の音が出なくなります。
-
トーンコントロールだと思って、聴きやすいと思う [SENS] ポジションで使えば良いと思います。
-
受信性能と音質
-
FM の感度が良く、妨害電波排除能力も良いです。
-
FM の音質は良いです。
音に解像度がありクリアな音です。
-
AM の感度も音質もなかなか良好です。