SONY ST-S333ESG (25号機) が到着
2026年2月18日、東京都世田谷区の K さんから
SONY ST-S333ESG
の修理依頼品が到着しました。
既に修理依頼者のほうで修理済みで、基本的には調整だけの依頼です。
修理依頼者による自家配送でした。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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15年ほど前に譲り受け、正常に動いておりました。
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約7年前に電源不良になり、アースバーのハンダを自身で補強しそれ以来なんとか動いておりました。
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2ヶ月ほど前から受信が不安定になり、FM/AM ともに受信できなくなりました。
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基板をチェックしたところ、アースバーが基板のパターンごと剥がれている箇所が見つかりました。
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その補強をしましたら無事に直りました(フロントエンド部)。
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更にフロントエンド部のトリマコンデンサを交換して簡易的ながら調整を試みたところ、大きく感度が上がり喜んでいました。
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以上の経緯ですが、専門的に調整をお願いします。
これまでに手を加えた箇所は以下です。
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アースバーの半田補強、RCA 端子と F 端子の半田補強
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抵抗値が不安定であった、ヒューズ抵抗数本の交換
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[フロントエンドのトリマコンデンサ] [電気二重層コンデンサ] [タンタルコンデンサ] の交換
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外観のチェック
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製造シリアル番号は [203311] で、電源コードの製造マーキングより [1989年製造品] とわかりました。
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純正でない [AM ループアンテナ] が添付されていました。
[リモコン] の添付はありませんでした。
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全体的には綺麗な状態です。
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サイドウッドに1箇所ツキ板剥がれはありますが、まずまず良い状態です。
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フロントパネルが天弁へ折り返すエッジで5箇所ほどごく小さいキズがやや目立ちます。
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[PROGRAM] スイッチの留めナットが緩んでいるようで、グラグラです。
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電源 ON してチェック
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問題なく電源 ON でき、FL 表示器の輝度は十分で、各ボタンやノブも正常に反応します。
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[CAL TONE] ボタンでテスト音が正常に出ます。
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FM 受信
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周波数ズレが無く、S メータがフルに振れ、[STEREO] 表示が出て綺麗な音で受信できます。
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特に問題は無さそうなので現状の性能値を計測してみました。
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測定した以下の性能がかなり落ち込んでいます。
これらは専用の機材がないと調整できないです。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
38 |
42 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.11 |
% |
| stereo |
0.12 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-40 |
-41 |
dB |
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AM 受信
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添付された純正でない [AM ループアンテナ] を接続してチェックしました。
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このアンテナとの相性は良く S メータが振れて良好に受信できます。
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カバーを開けてチェック
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点検するために [サイドウッド] [天板] [底板] のネジを外しましたが、ネジを強く締め過ぎです。
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[サイドウッド] は木でできているので、強く締め過ぎると歪が出ます。
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[天板] のネジにはナイロンワッシャを介しているので、強く締め過ぎるとワッシャが壊れます。
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[底板] のネジを強く締め過ぎるとネジ穴がバカになります。
緩むのが心配ならネジロック剤を使ったほうがよいです。
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基板は綺麗で、目視で明らかに劣化とわかる部品は見当たりません。
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基板の裏側を見ましたが補修ハンダに RH60 を使っていない箇所があるように思います。
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この頃の製品のハンダ付けには RH60 (錫60%・鉛40%) を使っているので、補修する場合にも RH60 を使う必要があります。
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無鉛ハンダはこの頃の機材には相性が悪いです。
リペア (その1):IF BAND = NARROW で性能が出ない
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概要
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動作に問題は無さそうなので再調整に入りました。
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IF BAND = WIDE だと ST-S333ESG に相応しい高調波歪率などの性能が出ました。
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IF BAND = NARROW だと高調波歪率が 数% とトンデモナイ数値になりました。
NARROW 回路が故障しています。
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調査と原因
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調べると左の回路図の NARROW 回路が動作していないとわかりました。
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[Q207] [Q208] はスイッチングに使われており、NARROW 増幅回路の有効/無効を切り換えます。
ここは正常でした。
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[Q210] は FET で、これで増幅するはずなのですが、全く動作していません。
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基板裏側で [Q210] のパターンをチェックすると、右の写真で黄矢印のところでハンダブリッジしていました。
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ブリッジしているのは FET の G と S なので、これでは動作しません。
現象と辻褄が合います。
原因はこれに間違いないです。
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このハンダブリッジの箇所を含めて、この辺りを修理依頼者のほうで総当たり的に補修ハンダ付けしています。
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この時に誤ってブリッジさせたと思います。

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修理
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ハンダブリッジしている箇所のハンダをソルダースポイトで吸い取ってから新たにハンダ付けしました。
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念のため DMM でショートしていないことを確認しました。
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修理後の動作チェック
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IF BAND = NARROW で規定のゲインが出ることを確認しました。
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IF BAND = NARROW でも ST-S333ESG に相応しい高調波歪率などの性能が出ることを確認しました。
リペア (その2):その他
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[PROGRAM] スイッチがグラグラしている
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フロントパネルを外してチェックすると、やはり留めナットが緩んでいました。
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ボリューム軸専用レンチを使って再締め付けし、ネジロック剤を塗布して直りました。
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フロントパネルが天弁へ折り返すエッジで5箇所ほどごく小さいキズがやや目立つ
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キズはやや目立つのですが小さいです。
そこで塗り補修ではなく化粧補修しました。
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黒のマジックペンでピカッと光ったキズ部分を塗って化粧補修しました。
これだけで見栄えがアップしました。
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使っているうちに化粧が落ちてきたら、また塗ればよいです。
誰でもできます。
再調整
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電源電圧チェック (VP)
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電源回路の修理を終えた実測値は以下のように良好です。
| VP |
表示電圧 |
実測電圧 |
判定 |
備考 |
| JW88 |
+30V |
+30.2V |
〇 |
PLL |
| JW89 |
+15V |
+15.1V |
〇 |
AUDIO |
| JW145 |
-17V |
-17.1V |
〇 |
FL |
| JW213 |
+13V |
+13.3V |
〇 |
DIGITAL |
| JW220 |
+5V |
+5.61V |
〇 |
DIGITAL |
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FM/AM 受信部の調整
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調整結果
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FM 受信部
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PLL 検波で大きな調整ズレがありました。
再調整で規定内に入りました。
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WOIS (IF 歪補正) でかなりズレがありました。
再調整で規定内に入りました。
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再調整でステレオセパレーションと高調波歪率が大きく改善して音の解像度が良くなりました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
65 |
70 |
dB |
| NARROW |
48 |
46 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.018 |
% |
| stereo |
0.029 |
% |
| NARROW |
mono |
0.23 |
% |
| stereo |
0.23 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-72 |
-72 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0 |
0 |
dB |
| CAL TONE 信号 |
WIDE |
mono |
422 |
Hz |
| -6.5 |
dB |
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AM 受信部
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添付された純正でない [AM ループアンテナ] で感度を最高になるよう調整しました。
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残念ながら
AM 放送は2028年に終了
します。
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ワイド FM 対応クリコン
を製作すれば AM 放送をワイド FM で受信できます。
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ST-S333ESG はアンテナ端子が2つあるので、ワイド FM 受信に便利です。
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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修理依頼者の修理跡をチェックしてマトモと思いました。
ただ顕微鏡を使って1個1個チェックした訳ではないので保証はしません。
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基本は再調整依頼だったのですが、不具合が見つかったので修理もすることになりました。
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全体的にブラック基調のデザイン
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SONY デザインはやはり格好イイです。
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デザインが良くて性能も良い、持つべき価値があります。
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フロントパネルはアルミ材で、ヘアライン仕上げです。
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FM 受信
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感度も S/N も一級品です。
微弱電波もしっかり捉えます。
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解像度がある素晴らしい音。
現在売られているチューナ (値段は高級機並み) とは全く異次元の音です。
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AM 受信
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感度は良いです。
ループアンテナでしっかり入感します。