TRIO L-07TⅡ (2号機) が到着
2024年6月17日、東京都葛飾区の N さんから
TRIO L-07TⅡ
の修理依頼品が到着しました。
定価13万円
の高級 FM 専用チューナで
パルスカウント検波
です。
この写真は照明 LED 化後です。
ウォームホワイト色 (電球色) LED を使ったのでオリジナルの雰囲気は残したまま、明るくムラのないクッキリ・ハッキリ照明になりました。
写真ではうまく伝わらないのが残念です。
程度&動作チェック
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修理依頼者のコメント
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ヤフオクで落札しました。
電源は入りますがステレオになりません。
照明の LED 化をお願いします。
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外観
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製造シリアル番号は [820266] です。
電源コードの製造マーキングが消えていて、ここからは製造年はわかりませんでした。
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キズやスレやクスミはありますが、並みの中古状態です。
フロントパネルは比較的綺麗です。
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リアパネルの端子にも少しだけ輝きが残っており、使用には問題なさそうです。
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電源 ON してチェック
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電源は入り、ランプ切れはないです。
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S メータが1レベルしか振れず、MUTING = ON では受信できません。
T メータは正常に左右に振れます。
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MUTING = OFF にするとモノラルでそれなりの音が出ました。
これ以上は、チェックしようがありません。
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カバーを開けてチェック
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一度もカバーを開けられたことがなかったのか、天板の六角ボルトを回すのにかなりの力が必要でした。
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密閉構造のためか、内部は非常に綺麗です。
目視で故障とわかる部品は見当たりません。
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使用 IC のロット番号より、本機は [1978年製造品] とわかりました。
リペア (その1):S メータの振れが極小
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調査と原因
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S メータの振れが少ないのは [FM フロントエンド] [S メータ IF 部] のいずれかです。
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L-07TII には IF 回路が3つあって [WIDE IF 部] [NARROW IF 部] [S メータ IF 部] です。
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S メータの振れが少ないのに S/N のよいマオトモな音が出て T メータの振れも正常から考えると、[S メータ IF 部] が怪しいです。
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[S メータ IF 部] を調べると [Qt10] 2SC535-B トランジスタが故障してエミッタが内部断線していました。
これが原因です。
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修理
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以下の交換リストのように新しいトランジスタと交換して
直りました!!!
| 部品番号 |
交換前 |
交換後 |
備考 |
| Qt10 |
2SC535-B |
2SC1923-Y |
高周波増幅トランジスタ |
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左の写真は [Qt10] 交換後です。
中央に見える黒い部品です。
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右の写真は故障していた [2SC535-B] です。
足が真っ黒になっていました。

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修理後の動作チェック
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S メータがビューンと元気よく振れるようになりました。
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MUTING = ON でも音が出るようになり、[STEREO] ランプも点灯するようになりました。
こちらも同時に直りました。
リペア (その2):照明の LED 化
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従来の照明
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L-07TII においては [メータ照明] [周波数ダイヤル照明] にフィラメントランプが使われています。
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写真は L-07TII から取り出したランプ取付金具とランプです。
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上が [メータ照明] 用で 8V/0.3A のフィラメントランプを2個使っています。
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下が [周波数ダイヤル照明] 用で 8V/0.3A のフィラメントランプを5個使っています。
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使っているフィラメントランプは特殊で切れたら代替品がないです。
特にダイヤル照明用ランプはかなり特殊です。

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照明するための消費電力は、8V×0.3A×(2個+5個)=17W となります。
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これが原因で L-07TII を使っていると筐体がかなり熱くなるという問題があります。
熱は機器の寿命を縮めるのです。
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LED 化の方法
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左の写真のウォームホワイト色 [テープ LED] を使いました。
テープ LED は LED×3個/単位 でカットできます。
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LED は DC 駆動する必要があるので、右の写真のように [Ck6] 電解コンデンサの両端から電源を取りました。

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下は LED 化の回路です。
電圧と電流の実測値も記載しています。
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ダイヤル照明にはテープ LED を11単位でカットし、これを直列接続して使いました。
LED 数は66個と膨大です。
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メータ照明にはテープ LED を3単位でカットし、これを直列接続して使いました。
LED 数は18個です。
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直列接続するのは電源電圧にできるだけ近づけたほうが電力効率が良くなるためです。

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ランプ取付金具へ [テープ LED] を取り付けました。
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ランプ取付金具にはフィラメントランプ用の穴が開いていて [テープ LED] 貼り付けに支障します。
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そこで、厚紙で台紙を作成してランプ取付金具に貼り付け、そこに [テープ LED] を貼り付けました。
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このように LED を数多く取り付けるのは、LED の照射角は30度と狭く、これを数で補うためです。

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照明 LED 化完成
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ウォームホワイト色 (電球色) の LED を使ったので、フィラメントランプだった時の雰囲気はそのまま残っています。
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黙っていれば LED だと気付かれないと思います。
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フィラメントランプの時より明るくなって照射ムラが無くなっています。
LED 化後のほうが絶対良いです。
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消費電力は 26V×28mA=0.7W と、フィラメントランプの時 (17W) から激減しています。
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電気代が安くなるので LED 化費用はいずれ回収できます。
エコです。
地球に優しいです。
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更に L-07TII の発熱問題が解決して信頼性が上がりました。
半日通電しても天板は冷たいままです。

再調整
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電源電圧チェッック (VP)
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実測値は以下のように良好です。
| VP |
標準値 |
実測値 |
判定 |
| 電源基板 7pin (+B) |
+13.5V |
+13.4V |
〇 |
| 電源基板 4pin (-B) |
-13.5V |
-13.4V |
〇 |
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FM 受信部の調整
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調整結果
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FM フロントエンドでやや大きくトラッキングズレしていましたが再調整で直り、感度が上がりました。
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2nd IF 周波数と MPX VCO でややズレがありました。
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スレテオセパレーションや高調波歪率は素晴らしい値に調整でき、音の解像度が上がり、音質が大きく向上しました。
| 項目 |
IF BAND |
stereo/mono |
L |
R |
単位 |
| ステレオセパレーション (1kHz) |
WIDE |
stereo |
67 |
60 |
dB |
| NARROW |
52 |
54 |
dB |
| 高調波歪率 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0.015 |
% |
| stereo |
0.015 |
% |
| NARROW |
mono |
0.084 |
% |
| stereo |
0.084 |
% |
| パイロット信号キャリアリーク |
WIDE |
stereo |
-74 |
-75 |
dB |
| オーディオ出力レベル偏差 (1kHz) |
WIDE |
mono |
0 |
+0.40 |
dB |
使ってみました
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修理&再調整が終わって
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到着時は S メータがレベル1しか振れないのに、受信音はマトモそうだったので不思議でした。
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原因がわかり、修理と再調整して素晴らしいパルスカウント検波の音に戻せてよかったです。
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LED 化した照明は非常に綺麗です。
発熱も抑えられて LED 化は大正解です。
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この音質と性能なら、ずっと聴き続けていたい気がします。
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デザイン
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重いチューナでアルミの塊のようなチューナです。
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フロントパネルは 4mm の分厚いアルミ材で高級感あります。
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天板も 4mm の分厚いアルミ材です。
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左右はサイドウッドになっていますが、あることがわからないデザインです。
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ダイヤルスケールとメータの照明で数字が浮き上がった素敵な雰囲気を感じます。
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チューニングノブは直径 38mm の無垢アルミ材で高級感あります。
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チューニングノブでダイヤル指針は、高級感のある動きをします。
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感度や音質
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まず、
ビックリするほど音が良い
です。
誰が聴いてもこの音の良さはわかると思います。
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音に張りがあって前に出てくる感じです。
放送局スタジオの人の気配音まで聴こえてしまうような解像感があります。
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やはり
パルスカウント検波
の威力ですね。
素晴らしいです。
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感度は問題なく良好です。
妨害電波排除能力も優れています。